課題は、CN燃料を手ごろな価格で供給できるか 石油連盟、e-fuelの国内価格「1リットル約200円」目標だが...
ダイハツはビジョン コペンでe-fuelなどCN燃料向けの技術革新を発表したわけではないが、自動車メーカーとしてCN燃料の活用でエンジン車の生き残りを図ろうとする意志を示した意義は大きい。
しかも、ビジョン コペンは、全幅が1695ミリで、1.3リッターのエンジンを積む小型車だ。ベースのコペンがFF(前輪駆動)の軽自動車なのに対して、小型車のFR(後輪駆動)という「スポーツカーの理想」を求めた点がファンにはたまらないだろう。
今のところ、ジャパンモビリティショーに出展する自動車メーカーで、CN燃料を活用したエンジン車をアピールしているのはダイハツだけだ。
問題はe-fuelなどCN燃料を燃料メーカーなどが実用化し、手ごろな価格で供給できるかだ。
日本では、新興企業のユーグレナがミドリムシなどを原料にした次世代バイオ燃料を開発し、路線バスなどに納入している。ところが、1リットル当たり約1万円と高額だ。
海外では、e-fuelを開発・製造する米国の新興企業にポルシェなどが出資している。日本の出光興産も、この米新興企業と提携し、「日本国内で2020年代後半までに生産・供給体制の確立を目指す」と、実用化に意欲を示している。
石油連盟は将来的にe-fuelの国内価格を「1リットル約200円」にすることを目標にしているが、クリアすべきハードルは高そうだ。
今回のジャパンモビリティショーで、e-fuelなどCN燃料をめぐる展示はダイハツの他にもあるのだろうか。EVの影に隠れがちだが、カーボンニュートラルのもう一つの切り札となるCN燃料にも注目したい。
(ジャーナリスト 岩城諒)