株の平均保有期間は3.8年
バークシャー社が株を保有する平均期間は3.8年で、実は「短気」投資家だと、指摘している。3分の1は1年以内で手放すとも。
バフェット氏といえば、アップルへの投資で知られる。獲得した利益は1276億9000万ドルで、元本に対する投資収益率は3.39倍になるという(配当を除く)。
ベストの投資は中国の電気自動車メーカーBYDに対するものだった、と推測している。投資収益率は一時、33.16倍にもなったという。
前田さんは過去にさかのぼってバークシャー社の資金流出入を調べ、平均売買回転率は5%弱で、普段はあまり売買しないと推測。日本の株式投信の解約額を純資産額で割った売買回転率は20~30%だそうだから、相当、低い部類だそうだ。
その投資動向を見ても、「なぜこうした判断をするのか」わからないことが多いという。医薬品大手のファイザーは3カ月しか保有せず、これからコロナのワクチン接種が世界的に本格化する矢先に手放した印象を受けたそうだ。
この流れからすると、日本の大手商社株もいつまで保有するかは何ともいえないという。「時代の先読みに務め、難しいと感じたら、電光石火のごとく売却するのではないか」と見ている。
バフェット氏は、一般の人には個別株投資を勧めていない。一般の人には銘柄選択が難しいことと、統計的にアクティブ運用がインデックス運用に勝てないのが理由だ。
運用のプロが有望だと思われる銘柄を選んで運用しているアクティブ運用投信の過半が、リターンの点でインデックスに勝てないという統計的な事実は、「人間とサルに何ら差がないと言っていることと同じ」と書いている。
とはいえ、2024年から始まる「新NISA」では個別株投資に振り向けるのも1つの手法だとも。また、1つの投資信託に積立投資を続ける「ドルコスト平均法」のリスクにも触れている。
これから投資を始めようとする初心者には格好の入門書になるだろう。「投資の神様」の真相を知ることにより、投資の世界の奥深さに触れることができるだろう。(渡辺淳悦)
「バフェット解剖」
前田昌孝著
宝島社新書
1100円(税込)