日立、白物家電の「指定価格」11月導入へ...消費者のメリットは? 洗濯機皮切りに順次拡大

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

値下げ前提の商習慣、新製品1年で値崩れが実態...制度導入で市場の「二極化」も

   指定価格制度の導入には、値崩れを防ぎ、収益を確保したいという狙いがある。

   実態はどうなのか。業界関係者によると、白物家電は、商慣習として値下げが前提となっていて、新製品の発売から1年もすると、2割~4割引きで販売されることが多い。

   このため、メーカーは機能が大して進化していなくても、毎年のようにマイナーチェンジした新製品を投入し、値崩れした価格をもとに戻す。ただ、新発売時に「在庫処分」の形で大幅値引きが行なわれ、メーカーや販売店の利益を圧迫する。

   指定価格制度は、こうした悪循環を転換する期待がある。

   日立はこれまで、値下げ原資になる実質的な販売奨励金の負担を含む形で卸売価格を設定していた。だが、指定価格なら、その負担がなくなることで、一定の卸売価格を確保できる。

   消費者が値下がりを待たなくなれば、販売のピークが前倒しされるのもプラス。また、無駄なマイナーチェンジがなくなれば、無駄に使っていた経営資源を新たな製品開発に振り向けられる。

   もっとも、消費者の低価格志向は根強く、他社製品に顧客が流れてシェアが低下する可能性がある。パナソニックは調理家電などの一部製品で市場シェアが下がったという。

   今回、日立GLSがまず指定価格で販売するのはドラム式洗濯乾燥機という高付加価値製品で、パナソニックと日立で計6割のシェアを占める。

   パナソニックがナノケアドライヤーで販売価格を維持しながらトップシェアを維持しているように、他社と差別化ができる高付加価値商品だからこそ、指定価格制度が成り立つということだろう。

   逆に言うと、機能に差がない製品は値引きができる海外メーカーの商品がシェアを高める可能性もあり、市場の「二極化」が進む可能性もある。それだけに、メーカーとしての戦略が改めて問われることになる。

姉妹サイト