アイデアとしては有望でも、スケールアップでつまずくのはなぜ?

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いかにしてボルテージを高めるか?

   第3は、大規模には再現できない特殊要素はないかを見極めることだ。入手するのに交渉不可能な材料があれば、スケールアップはできなくなる。

   第4は、ネガティブなスピルオーバーはないかということだ。ある出来事や結果が、別の出来事や結果に意図せざる影響を及ぼすことを意味する。工場を新設したところ、大気汚染を引き起こし、周辺住民の健康被害が生じるケースが古典的な例だ。

   さまざまな属性の人を対象にスケールアップするときほど、スピルオーバーが発生しやすいという。

   第5は、コストがかかりすぎないかの検討だ。ある医療スタートアップの失敗例を取り上げている。固定費用がいくらになりそうかの見積、さらに十分な資金の確保が重要だという。

   このほか、第2部では、最大効果のスケーリングに必要なプラクティスを導入することで、いかにボルテージを高めるかについて論じている。「損失回避原理」など、行動経済学のインセンティブの活用を紹介している。

   ビジネスの現場に強い、まさに「行動する」経済学者の面目躍如といった本である。(渡辺淳悦)

「そのビジネス、経済学でスケールできます。」
ジョン・A・リスト著、高遠裕子訳
東洋経済新報社
2090円(税込)

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