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仕事のプロセスは裁量に任せながらも、妥協は許さない

   そのうえで第3に、安易な諦めは許さないことです。

   部下に仕事を任せると、難しい局面のときに妥協しようとすることも少なくありません。うまくいかない仕事のやり方は、適切に変えるべき場合もあります。仕事のプロセスは部下に裁量を持たせ自主判断に任せますが、約束した目標に対して安易に諦めて妥協することは許してはいけません。

   これは、育児や介護などと両立しながら働く社員に対しても同じです。幼い子どもは体調が不安定なことも多く、急な遅刻、早退や、休みが必要な場面はよくあります。そのようなときには、「今日は早く帰っていいよ」「在宅で仕事をしても大丈夫」と伝え、柔軟に対応します。

   しかしこれは、「任せた仕事をやり遂げなくてよい」ということではありません。休んだり在宅で仕事をしたりした分、どう挽回するかは本人に考えさせ提案させます。自分でリカバリーできない場合は周囲の力を借りてもかまいませんが、それも含めて自分の仕事。上司に「どうすればいいですか」と、依存はさせないことです。

   「上司が最終的に巻き取ってくれて何とかなった」ではなく、「大変だったけれど、周囲の協力も得ながら自力でやり遂げた」とすることが、結果として部下本人の自信と成長にもなるのです。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)をご参照ください。

※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks)、『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等約40冊。最新刊は『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)。

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