入社2年目の若手社員がメンタル不調から立ち直り、大ブレイクした理由とは?【部下の心を動かした『胸アツ』エピソード「4」前編】(前川孝雄)

朝9時に着席することが仕事!?

   Hさんは入社して1年間、営業部署の仕事に就いていましたが、メンタル不調に陥り、休みがちとなりました。

   そして、社会人2年目のタイミングで、T課長が束ねるマーケティングチームに異動してきました。最初の面談では全く元気がなく自信もない様子で、T課長の目を見て話せないほどだったといいます。

   そこで、T課長はHさんの役割と仕事の任せ方を思案したうえで、次のように伝えました。

「私はあなたに、今後このチームで1年をかけて、営業部門の担当者が活用できる調査データの分析と配信の仕事ができるようになってほしいと思っている。Hさんは、マーケティングチームで唯一、営業部門での現場経験があるからね」
「でも、いまのコンディションで急に初めての仕事に取り掛かるのは難しいと思う。だから最初の1カ月は、朝9時までに出社して、席に座ることを目標にしてほしい。その達成のためにどうすればいいかは、自分で考えて工夫してほしい」

   Hさんは驚いた様子で、聞き直しました。

「それでいいんですか?」

   たしかに朝9時に出社するだけでは、仕事とはいえません。しかし、その時点のHさんはメンタル不調なのですから、T課長は慎重にステップを刻んだのです。

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