「ラクしてできる!」に、だまされないで! 仕事の「本質」を大事に【尾藤克之のオススメ】

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   ビジネスをスタートして売上を拡大していくには「集客」「SNSの活用」など、さまざまな取り組みが必要になります。今回紹介する本書は、個人事業主・フリーランスのビジネスに関する悩みを解決し、売上につなげる方法を解説した一冊です。

『ひとり起業家1年目のオンライン化と集客の悩みを解消する本』(木藤秀一著)フォレスト出版

SNSのキモは「コミュニケーションの質」

   SNSのキモは「コミュニケーションの質」だと、著者の木藤さんは言います。いろんな人からコメントをもらうことで、良質のコミュニケーションが生まれるからです。

「コメントをもらえると、返信することができます。コメントに丁寧に答えることで、近しい人とどんどん距離を近づけて、さらに仲良くなることができます。こうして一人でも多くの人と交流を深めながら自分のファン作りをしていく。これが一番の目的になります。何度も接するうちに、好きになっていく、ザイオンス効果も発生します」(木藤さん)
「接触頻度が高ければ高いほど、好意を持つものです。しかし、実際には、同じ人と何回も会うのは難しいものです。人間関係を構築するまでの時間がかかりすぎてしまいます。だからSNSを使うのです。自分の名前と顔を覚えてもらいながら、さらにコメントのやり取りをすれば、あなたは多くの人にどんどんインプットされていきます」(同)

   SNSの中でもFacebookは、投稿コメントのやり取りが多ければ多いほど、お互いのホーム画面によく表示されていく感じがあると、木藤さんは言います。

「交流会などで知り合った人は全員、プロフィールページのURLリンクを貼ったシートで管理しています。タイムラインでこの人を最近見かけてないなという感覚はわかるものです。そんなときは、その一覧表を開きます。そして久しぶりだなと感じる人のプロフィールページを開いて『いいね』を押したりコメントを入れたりしています」(木藤さん)
「もし、これが何のアクションもない知らない人からのお誘いだと、イヤな気持ちになるかもしれませんよね。この一連の流れで、私たちは距離を近づけていくのです。その効果は、十分すぎるほどあります。集客は、私たちにとって最も大切なことの一つなのですから、『SNSも仕事として取り組む』ことが必要です」(同)

売上アップのキモは営業量

   私が外資系で有名なコンサル会社で働いていたときの話です。世界で約1000人のコンサルタントの中でm売上トップになったこともあり、在籍期間中は10位以下には落ちたことがありませんでした。

   しかし、報酬はなかなか上がりませんでした。私は上司に不満を言います。それがきっかけとなり、顧客を全部はがされる羽目になりました。期初にたてた目標数値が変更になることはありません。では、翌年の年度末にどうだったのか。

   じつは、世界1位の売上を計上していました。日本がヘッドオフィスですから、日本で1番=世界で1番です。誰も私にかなわなかったのです。では、私はなにか特別なことをしたのでしょうか。それは否、営業量が圧倒的だったのです。

   かっこよく受注できる営業ノウハウなどあるはずもなく、営業量が成果に影響を及ぼすという考えがすでに確立していました。ほかのコンサルタントが御用聞きをしている間に、毎日何社も回っていたのです。私が狙ったのは次の2つに該当する会社です。

(1)人員削減などをおこないリストラが終了した会社。
(2)大手有名企業ではなく、名前の売れていない上場企業。

   リストラ後は、社内が殺伐とし疑心暗鬼になっています。モチベーションアップややる気を引き出すために、研修は効果的でした。名前の売れていない上場企業の場合、課題が顕在化すると、ほぼ一括受注(私へのアウトソーシング)になりました。

仕事は簡単ではない...という話

   当時は、SNSなど存在しません。私は何を使用していたのか。それはFAX通信です。企画書のサマリー、報告書やレポートのサマリーを2枚以内にまとめて送っていたのです。「あんなものに返信がくるわけがない」と陰口を言われながら、毎日100件近くのFAXを送っていました。内容がいいと、100件送れば10件くらいのレスがありました。

   私が実践してきたのは木藤さんの言う「コミュニケーションの質」を高める行動だったと思いました。最近、とかく「ラクして~できる系」の本が増えました。私としては、まったく評価できません。仕事って、そんな楽ではないし、効率のいい方法なども滅多にないと思っています。

   なお、今回の木藤さんが出版したレーベルは、フォレスト出版の新レーベル(ナレッジシェルフ)第1号だと聞きました。さらに、ご自身にとっても処女作だとのこと。今後のご活躍をお祈りいたします。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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