ようやく厄介払いができても、安心はできそうにない。経営の迷走が続いている東芝のことだ。
国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などが2023年8月8日~9月20日に実施した東芝に対する株式公開買い付け(TOB)が終了した。ただ、これで日本を代表する名門企業だった東芝が、かつての栄光を取り戻せるか、予断は許さない。
TOBの条件は1株4620円
「多くの株主の皆様に当社の考え方を理解いただけたことに深く感謝する」
東芝の島田太郎社長は2023年9月21日に発表したコメントでTOB成立を手放しで喜び、今後、株式の非公開化に向けた取り組みを進めていく考えを示した。
TOBの条件は1株4620円。買い取りに応じたのは、議決権ベースで78.65%。「3分の2以上」としていた成立条件を上回った。
11月の臨時株主総会でTOBに応じなかった株式を強制的に買い取る手続きをとったうえで、年内にも上場廃止になる見通しだ。
東芝は1949年から続いてきた上場企業というブランドを失うことになる。財界トップも複数輩出してきた名門にとって、寂しすぎる結果と言える。