ビジネスパーソンにとって30代、40代は、上司もいて、部下もいて、あるいは周囲の活躍も気になって...という悩み多き世代ではないでしょうか。
当コラム「その仕事の悩み、こんなふうに考えてみよう。」では、キャリアや生活にまつわる悩みに、組織や人材開発、コーチングに詳しい「ひろ子ママ」が、アドバイスやエールをお送りしていきます。
◆きょうのお悩み
きょうはQさんが、こんな悩みを抱えていらっしゃいました。「休日カフェに行くと、パソコンで仕事をしている人も多く、『フリーランスの人ってこんな感じで仕事しているのかな』と羨ましく思ったりもします。すぐにフリーランスになる気もないですが、毎日9時~19時まで繰り返し働いているので、やっぱり自由な働き方って憧れますね」
会社員にはたくさんの恩恵が
フリーランス=「自由だ」というイメージがたしかに強く、Qさんのように憧れを持っている方もいるでしょう。でも、実は、フリーランスにはない会社員の恩恵がたくさんあります。
会社員人生が長いと、それが当たり前になので気にしないことも多いでしょう。まずは会社員の恩恵を知っておきましょう。
(1)受け取れる年金の差
厚生労働省年金局の資料による将来受け取れる年金額を比べてみると、フリーランスは約5.6万円、会社員は約14.5万円と、まさに雲泥の差です。
この違いはフリーランスの国民年金の加入に対し、会社員は国民年金と厚生年金に加入していて、しかも会社が半分払ってくれているから。この差を見ると、会社員の恩恵はすごいですよね。
参考:
厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
(2)面倒な事務作業もない
会社員の場合、毎月の経費や交通費精算を経理部に提出して、年末の年末調整も必要な書類を提出するだけで会社がやってくれます。フリーランスには面倒な作業、確定申告があります。
2023年10月からインボイス制度が導入されたので、さらに厄介になりそうです。会社員であれば、経理や事務の担当がいるので、このような面倒な作業から解放されます。
ちなみに、会社員は交通費も会社持ちですが、フリーランスは実費です。フリーランスにとって交通費は地味に痛い出費です。
「サラリーマン増税」はあり得る? この先どうなる?
(3)毎月安定した給与が入る
会社員は極端な言い方をすると、仕事が忙しくても、忙しくなくても毎月決まった給与がもらえます。役職の有無にもよりますが、残業をすれば残業代ももらえます。
一方、フリーランスはやった仕事に対しての報酬しかもらえないので、仕事がなければお金はもらえません。「自由な時間」=「暇な時間」だったら、大変なことです。
カフェでパソコン開いて仕事するためには、まず仕事も必要ですし、カフェ代も必要ですね。当然、仕事が終わらなくて夜中に仕事をしても残業代はありません。
ここまでの話からするとやっぱり会社員の恩恵すごいなという流れになっていますが、先行き不安な話題もチラホラ出てきています。
給与所得控除の縮小、退職金や通勤手当にも税金がかかるかもしれないという「サラリーマン増税」です。
会社員は手元に残るのは税金控除後の金額になるので、税金について無頓着になりがちですが、確実に増税枠として国に「狙われて」います。
この先、会社員であっても何が起こるかは分からないので、やはり防御策として「自分で考える力」「自分で稼ぐ力」が必要になってくると考えられます。
会社員でいること、フリーランスでいること、どちらが正解かなんて答えはありませんが、時代の変化に合わせて切り開いていく準備はしておきたいですね。
Qさんも毎日同じ繰り返しと、仕事を単なる作業としての仕事と捉えるのではなく、まずは充実した人生を送るための仕事として考えてみてはいかがでしょうか。(ひろ子ママ)