謎の白身魚の正体は...東南アジアのナマズだった! その名は「パンガシウス」...次世代の水産資源として注目 イオンリテール水産部門担当者に聞いた

   近年、大手スーパー・イオンなどで「パンガシウス」なる魚が販売されているのをご存じだろうか。

   この魚についてSNSには、「パンガシウスという白身魚をスーパーでよく見る気がします...」といった、その存在には気付いているものの手に取ったことはないとする声。そのほか、「パンガシウス食べやすくて私も好き!!!謎魚」と、食べたことはあるけれど、その正体をあまり知らないといった声が上がっている。

   その正体は......なんとナマズの一種で、タイやベトナムなど東南アジアに生息する淡水魚だ。認知度が高まる中、J-CAST 会社ウォッチ編集部は、この魚の普及に努めてきた、イオンリテール株式会社所属の水産商品部長・松本金蔵氏に話を聞いた。

  • 松本金蔵氏
    松本金蔵氏
  • 松本金蔵氏

「主にベトナムで養殖されている魚種で、世界的にも利用の多い魚」

――そもそも、パンガシウスとはどんな魚で、なぜ取り扱うことにしたのでしょうか。

松本金蔵氏 パンガシウスは日本ではまだなじみは深くないが、主にベトナムで養殖されている魚種。もともとナマズを食べる文化のある国へ広く輸出されてきた、世界的にも利用の多い魚です。

――取り扱いはいつから?

松本氏 イオンリテールでは2014年に、持続可能な養殖に関するグローバル認証であるASC認証取得の養殖場で育てられたパンガシウスを発売しました(※ASC認証=養殖に関するグローバル認証)。これは、当社として水産物を持続可能な形で取り扱いを続けられるようにするという大きな目標のなかの取り組みの1つでした。

――今後、他にも新しい水産物を日本市場に提案していくのでしょうか。

松本氏 イオンとしての考え方として、世界中から優れたものを調達する、という考えがあり、水産物についても優れた商品で新たな需要開拓を進めています。

「白身魚でクセがない淡泊な味わいが特徴で、何の味にも合うというのが長所」

――パンガシウスの特徴は?

松本氏 パンガシウスは白身魚で、クセがない淡泊な味わいが特徴です。何の味にも合うというのが長所。そのままムニエルや唐揚げにしてもいいし、下味をつけてパン粉をまぶした商品も好調に売れている。また、パンガシウスは他の魚に比べて、必要とする餌も少なく済み、早く育つ。それ分、生育に伴う環境負荷も少ない魚であり、今後もっと日本での認知度や需要が高まれば、さらに販売の方も拡大していきたいと考えています。

――御社がサステナブルシーフードの取り扱いを進める理由は?

松本氏 水産資源は石油や石炭とは違う、再生資源であるという認識から、そうした再生資源を未来に残していければという考え方で、2006年より持続可能な水産物の取り組みを始めました。漁業に関するグローバル認証であるMSC認証の商品は2006年から、養殖に関するグローバル認証であるASC認証は2014年から取り扱っています。

――業務遂行にあたって心がけていることは?

松本氏 水産を担当する者としては、やはり将来の子どもたち、これから生まれてくる子供たちに、今ある魚食文化を残していきたいという想いがあります。

(構成/J-CAST 会社ウォッチ編集部 坂下朋永)

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