1ドル=150円突破! 政府・日銀「為替介入」か? エコノミストが提言「第2、第3弾も焼け石に水」「植田総裁の、性根入った出口発言に期待」

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今後、ドル高円安の嵐次々襲来、植田総裁の「気合」が救い?

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日本銀行本店

   野村総合研究所の木内氏同様に、今回の「為替介入」は円安進行の足止めにしかならないと指摘するのは、第一生命経済研究所の首席エコノミスト熊野英生氏だ。

   熊野氏は、リポート「1ドル150円、為替介入との闘い~後詰めの日銀は動けるか?~」(10月4日付)のなかで、「1ドル150円を超える円安を通貨当局は許さないという姿勢を、強烈に意識」させたことに狙いがあったとみる。

   しかし、今後さまざまな「ドル高円安」を引き起こす要因が控えていると強調する。整理して紹介すると、こんな案配だ。

   (1)米議会の債務上限問題は、11月17日までの短いつなぎ法案で先送りされたが、マッカーシー下院議長の解任動議が可決されるなど、共和党内の対立が強まり、民主党と共和党の協議はさらに難航する。

   (2)こうした米議会の大混乱から、格付会社ムーディーズが米国債格下げを示唆。もし、格下げに動けば、主要3社がすべて米国債をダウングレードして、米長期金利を上昇させる要因になる。

   (3)FRB(米連邦準備制度理事会)が年内に利上げが決定するだろう。焦点は高金利政策をいつまで続けるかに移り、2024年の早い時期での利下げがなくなる。これも米長期金利を押し上げ、ドル高に動かす要因だ。

   熊野氏は「日本の通貨当局が為替介入を実施したとしても、ドル高・円安の地合いは、当分の間、継続するとみられる」という。

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ドル円相場はどう動く?(写真はイメージ)

   では、どうすればよいのか――。熊野氏は、植田和男・日本銀行総裁の「気合の入った出口発言」に期待する。

「次の焦点は日銀だ。
考える材料を提供してくれるのは、9月9日の読売新聞報道だ。植田総裁は、年内利上げを突如としてゼロではないと報じられた。これが円高要因にはなったが、影響力は小さかった。すぐに、為替トレンドは円安方向に修正された。
そこからわかるのは、マイナス金利解除について、植田総裁が市場に期待を織り込ませるのであれば、相当にしっかり意図を示さなければ円安方向の流れは変わらないということだ。
明確に出口を示唆することは、かなりハードルが高いと感じられる。『出口は近い』などの曖昧な発言では到底円安トレンドを止められない。性根の入った出口発言を植田総裁がするかどうかを注目しておきたい」

(福田和郎)

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