日本取引所G株、一時年初来高値...今夏以降、「日本株」上昇基調で取引活況 決算前の業績上方修正を好感

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   東証などを傘下に持つ日本取引所グループ(G)の株価が2023年9月26日、一時前日終値比124円50銭(4.6%)高の2820円50銭まで上昇し、年初来高値を更新した。その後も値崩れはしていない。

   前日の25日に2024年3月期通期の最終利益などの業績予想を上方修正した。今夏以降、日本株全体が上昇基調となったことに伴い取引が活発化し、株式の売買代金などが増える。

   業績予想の修正は決算発表時になされることが多いが、今回はそうではない。決算発表時以外でも珍しくはないとはいえ、決算発表まで待てないほどの取引の活況ぶりがうかがえることが業績改善の期待感を高めたようだ。

最終利益予想は16.5%増の540億円、配当予想も6円引き上げ63円に

   それでは上方修正の内容を確認しよう。

   売上高にあたる営業収益は従来予想より85億円増の1430億円(前期比6.7%増)、営業利益は従来予想比85億円増の770億円(12.8%増)、最終利益は従来予想より50億円増の540億円(16.5%増)を見込む。

   日本取引所Gは傘下企業が運営する市場における1日平均の売買代金・取引高の想定をもとに業績予想を算出している。取引量に応じて手数料を得るのが日本取引所Gのビジネスモデルだ。

   想定される売買代金・取引高について、たとえば「株券等」は5000億円増の4兆3000億円、長期国債先物取引は2000単位増の3万3000単位に、それぞれ最近の取引の活況を踏まえて上方修正した。

   これに伴い、業績予想も上向くことになった。あわせて、期末の配当についても従来予想より6円引き上げて63円とした。

日本証券Gトップは、野村HDと大和証券G出身者が交代で就任 株価純資産倍率は4.7倍

   日本取引所Gとは何か、をおさらいしておこう。

   2013年に東京、大阪両証券取引所が合併して発足。傘下の東証が株式市場、大阪取引所が国債先物などのデリバティブ市場を担う。

   2019年にはさらに、金や原油を扱う東京商品取引所を子会社化して「総合取引所」の体裁を整えた。

   「東証理事長」といえば、かつては旧大蔵官僚の天下り先で、役所のような組織とされてきた。だが、いまや日本取引所Gは自らの株式を上場しており、そんなわけにはいかない。ちなみに、株式の取引所が上場企業であることは、世界的に珍しいことではない。

   日本取引所Gのトップは、野村ホールディングス、大和証券グループ本社の出身者が交代で就いており、現在は野村出身の山道裕己氏が「グループCEO(最高経営責任者)」を務めている。

   東証はPBR(株価純資産倍率)が1倍未満の上場企業に対してその数値を上げるよう対応を要請しているが、日本取引所GのPBRは現状4.7倍。

   株主還元を強めた今回の増配発表ともあわせ、一応模範にはなっているといえるかもしれない。(ジャーナリスト 済田経夫)

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