「こんな笑顔が、また見られるなんて」家族も涙...余命わずかな患者さんに、看護師長が贈った意外なプレゼントとは?【部下の心を動かした『胸アツ』エピソード「3」前編】(前川孝雄)

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   「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~部下の心を動かした『胸アツ』エピソード」では、実際にあった感動的な現場エピソードを取り上げ、「上司力(R)」を発揮する方法について解説していきます。

   今回の「エピソード3」では、<「こんな笑顔が、また見られるなんて」家族も涙...余命わずかな患者さんに、看護師長が贈った意外なプレゼントとは?>というエピソードを取り上げます。

変化の激しい時代 これまでどおりの仕事でいいのか...?!

   どの企業にも、自社の経営理念のもと事業やサービスの枠組みがあり、経営計画、業績目標、職場のルールや慣行があることでしょう。また、守るべきコンプライアンスや倫理への留意も求められるでしょう。

   しかし、現場で指揮を執る上司は、顧客対応や仕事の進め方に疑問を感じたり、悩んだりする場面もあるのではないでしょうか? 私が営む会社が開催する「上司力(R)研修」の受講者からも、折に触れ次のような声が聞かれます。

「この内外環境の変化の激しい時代に、単にこれまでの事業の枠組みの範囲内での仕事の繰り返しでよいのか、疑問に思う時がある。」
「組織本来の存在意義に立ち返り、よりよい顧客サービスをめざすには、もう一歩踏み込んだ変革が必要ではと感じている。」
「日々、第一線の顧客接点で働いている社員の声を、経営はもっと重視すべきではないかと葛藤することがある。」
「お客様の生の声やニーズを直視するなら、従来の慣行や社内ルールに一部反してでも、チャレンジすべきではないかと悩む。」

   今回取り上げるのは、そうしたジレンマを感じたことのある上司の皆さんに参考にして頂きたい、現場リーダーのエピソードです。

余命わずかな高齢男性を担当した看護師チーム

   経験豊富な、ある看護師長のお話です。

   彼女は、大規模な病院に勤務していましたが、ある時、束ねるチームが末期治療の高齢男性を担当することになりました。このおじいさんは家族に余命宣告されており、もって数週間。流動食も受け付けないほどに体が弱っていて、胃ろう処置がなされ、点滴で寝たきり状態でした。

   彼女と部下の看護師たちチームは、おじいさんの心身への配慮事項を確認し合いました。そして、看護師長からは「残された期間を少しでも心地よく、ご満足いくように過ごして頂けるよう工夫をしていきましょう」と、ケア方針を共有したのです。

   おじいさんが看護師たちに慣れてきた頃、担当の看護師がふとおじいさんに聞いてみました。「おじいちゃん、何か欲しいものある?」するとしばらく経ってから、おじいさんは声を振り絞ってこう答えました。

「ト、トロが、た、たべたい。」

   家族によると、おじいさんは元気な頃、寿司屋のカウンターでお寿司を食べるのが大好きだったといいます。

「もう一度、食べさせてあげたいけどねえ...」

   妻であるおばあさんは、悲しそうな目でそうつぶやきました。

   けれども、点滴で寝たきりの末期患者を寿司屋に連れて行くわけにはいきません。また、出前を取ったとしても、そもそもおじいさんは食べ物を一切食べられないのです。なにより免疫力が極端に低下している患者さんが生ものを食すなんて、もってのほか。

   おじいさんの言葉を聞いた看護師は、看護師長にこの話を報告しました。

「どうしようもないのは分かっているのですが、自分の胸だけにしまっておくには居たたまれなかったものですから...」

   話を聞いた看護師長は、患者さんに寄り添う看護師の思いに共感するとともに、おじいさんの残り少ない人生の中で、私たちができることはないものかと、考え込みました。

友人の発言から妙案が!

   明るい人柄の看護師長は交友関係が広く、業界の異なる知人たちと会食をしながら、仕事の近況や悩みを語り合う機会も多かったといいます。

   この日も、ふと、担当のおじいさんの話を打ち明けました。すると、一人の友人が言いました。

「そういえば、私が行きつけの寿司屋さんに、とても気のいい寿司職人さんがいるのよ。ちょうどその方も高齢で要介護の親御さんを抱えていてたいへんだけど、親孝行ができるのも今のうちだから...と話していたわ」

   「そうだ!」友人の言葉を聞いた彼女には、ある妙案が浮かびました。そして、友人に頼んだのです。

「私、その寿司職人さんと、ぜひお話がしたいんだけど!」

   この続きは<「こんな笑顔が、また見られるなんて」家族も涙...余命わずかな患者さんに、看護師長が贈った意外なプレゼントとは?【部下の心を動かした『胸アツ』エピソード「3」後編】(前川孝雄)>で紹介していきます。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)をご参照ください。

※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks)、『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等約40冊。最新刊は『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)。

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