「こんな笑顔が、また見られるなんて」家族も涙...余命わずかな患者さんに、看護師長が贈った意外なプレゼントとは?【部下の心を動かした『胸アツ』エピソード「3」後編】(前川孝雄)

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リーダーはリスクを自覚しつつ、自らの意思と責任で判断すること

   第三に、看護師長のリーダーとしての判断についての学びです。

   彼女の取った行動は、病院の規則に照らせば正しくないかもしれません。末期患者への対応ルールやマニュアルに沿うなら、点滴状態の患者に生ものを食べさせるなど言語道断との見方もあるでしょう。

   彼女は、いざという時の準備は整えたといいますが、もし事故ともなれば一大事。一定のリスクを抱えていました。

   彼女は敢えてこの行動を上層部に相談せず、担当医師に気づかれないタイミングに敢行したといいます。自分が実行責任を負う覚悟であったのでしょうが、病院の組織責任は拭えず、評価は分かれるところでしょう。

   しかし、一定のリスクを自覚しながらも、自分の意思と責任で決定を下すのが上司の立場であり、役割です。上意下達になりがちな組織のなかで、単に伝書鳩のように上からの指示や規則を部下に伝達し、部下の行動を管理するだけでは、リーダーとしての介在価値はありません。

   仕事に絶対の「正解」はなく、このエピソードもまた然り。ただ、彼女が主体的に下した判断とリーダーシップの取り方には、学ぶべき点があるのではないでしょうか。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)をご参照ください。

※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks)、『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等約40冊。最新刊は『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)。

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