11代目アコード、満を持して登場 ホンダが目指す「セダン復権」の切り札となるか...気になる12月先行予約の動向

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

   ホンダが2023年9月21日、11代目となる新型「アコード」を発表した。12月から先行予約を始め、2024年春に発売するという。日本の自動車メーカーから伝統のセダンが次々と消える中、新型アコードはホンダが目指す「セダン復権」の切り札となるだろうか。

   アコードは1976年に初代が3ドアハッチバックセダンとして登場。「シビック」の上級モデルとして人気を博し、その後のホンダの発展に貢献したクルマだ。

   50代後半以降のクルマ好きであれば、「アコードのフルモデルチェンジ」と聞けば、気になるに違いない。

   新型は2リッター直列4気筒の直噴アトキンソンサイクルエンジンと新開発の2モーターを内蔵したハイブリッドカーだ。北米や中国では既に発売しており、日本にも満を持して登場することになる。

  • ホンダ、新型「アコード」先行予約の受付を2023年12月に開始予定(プレスリリースより)
    ホンダ、新型「アコード」先行予約の受付を2023年12月に開始予定(プレスリリースより)
  • ホンダ、新型「アコード」先行予約の受付を2023年12月に開始予定(プレスリリースより)

「ロングノーズ・ショートデッキ」の古典的スタイルも、現代風アレンジで新鮮味

   スタイリングは、今どき珍しいロングノーズの3ボックスセダンだ。

   まるで直列6気筒エンジンを搭載しているかのような長いエンジンフード(ボンネット)と短いトランクリッドは「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれる古典的なスタイルだ。これをホンダが現代風にアレンジすると、むしろ新鮮に思えるから不思議だ。

   こんな伸びやかでスタイリッシュなセダンは日本車では少なくなってしまった。スペース効率を重視すれば、エンジンフードは短く、キャビン(室内)とトランクを広くとった「トヨタカムリ」のようなセダンの方が使いやすい。

   そんなトヨタのファミリーセダンの代表格だったカムリは、2023年12月下旬に生産終了となることが決まっている。結果的にトヨタの3ボックスセダンは「カローラ」のほか、燃料電池車の「ミライ」ぐらいしかなくなってしまった。

   トヨタはレクサスブランドでは「LS」「ES」「IS」と高級セダンを揃えているが、いずれも販売台数は限られている。

世界の主流は2ボックスSUVとミニバン...日本車ライバル「マツダ6」「スカイライン」「レクサスIS」ぐらい...

   そもそも今の日本市場で、3ボックスセダンは絶滅危惧種に近い。日産自動車のセダンは「スカイラン」だけになった。日産に限らず、世界の自動車の主流は2ボックスのSUVかミニバンになっているのだ。

   SUBARU(スバル)には、かつてアコードのライバルだった「レガシィB4」が存在した。3リッターの水平対向6気筒エンジンが売りだったが、現在は2.4リッター水平対向4気筒のスポーツセダン「WRX S4」だけになった。

   その点、マツダは地味ながら、正統的な3ボックスセダン「マツダ6」を現在もラインナップしている。

   こうして見ると、新型アコードの日本車のライバルはマツダ6と日産スカイライン、レクサスISくらいしか存在しないことがわかる。

   マツダ6はかつての「アテンザ」で現在は2リッターと2.5リッターの直列4気筒ガソリンエンジンと2.2リッターの同ディーゼルエンジンを搭載する。ガソリンエンジンはFFだけだが、ディーゼルにはFFと4WDがある。

   スカイラインは3リッターのV型6気筒エンジンの後輪駆動だ。「400R」のようなスポーツモデルもあり、アコードとは車格が異なるだろう。

   レクサスISもスポーツセダンだが、2リッターのIS300や2.5リッターハイブリッドのIS300hはアコードのライバルとなりそうだ。トヨタが2023年秋に発売する「クラウンセダン」も気になるところだ。

外国車はベンツA・Cクラス、BMW3シリーズ、アウディA4と好敵手ぞろい...少ない「セダン」のパイを奪い合い

   ホンダは新型アコードで「セダンを根本から問い直す」と説明している。「時代が要請する先進テクノロジーを搭載し、フォーマルと個性を両立した」という。

   先進テクノロジーとは、ホンダが「e:HEV」と呼ぶハイブリッドシステムに新開発の2モーターを内蔵し、「パワフルな駆動力と静粛性を両立した」という「スポーツe:HEV」が筆頭だろう。

   全方位の安全運転支援システム「Honda SENSING 360(ホンダ センシング サンロクマル)」の最新バージョンを日本向けとして初搭載するのも先進性のひとつに違いない。

   2025年には、ドライバーの異常や周辺の環境を的確に検知し、事故のリスクを減らすほか、ハンズオフ機能を追加した次世代のホンダセンシング360をアコードに搭載するという。

   日本車ではライバルの少ないアコードだが、外国車ではメルセデス・ベンツのAクラスとCクラス、BMW3シリーズ、アウディA4などが好敵手となるだろう。

   こうして考えると、新型アコードのライバルは少数ながら強豪が多い。SUVとミニバンが優勢な国内市場で、数少ないセダンのパイをライバルと奪い合うことになる。果たしてアコードは支持を得られるか。先行予約の行方が注目される。(ジャーナリスト 岩城諒)

姉妹サイト