結婚当初に「希望した子どもの数」と「完結出生子ども数」はなぜ差が出てしまうか? 「子どもを持つ理由」にも変化が【人口問題4】(鷲尾香一)

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妻が正規雇用で就業継続の場合、夫の家事の頻度は「日常的」39.5%、育児の頻度は「日常的」45.7%

   もちろん、妻が就業を継続する場合には、いずれかの子育て支援制度や施設を利用するケースが増加している。

   2015~18年生まれの第1子が3歳になるまでに、いずれかの子育て支援制度や施設を利用したのは90.3%で、特に、妻が正規雇用の場合には98.9%にのぼる。

   同時に妻の就業継続には夫の家事・育児への参加も重要だ。

   2015~18年生まれの第1子が3歳になるまでの夫の家事頻度は、「ときどき」が34.0%、「ひんぱん」が14.8%、「日常的」が34.0%と「ほとんどなし」の15.9%を大きく上まわっている。

   育児にはより積極的に夫が参加しており、「ときどき」が27.6%、「ひんぱん」が23.4%、「日常的」が41.0%にのぼり、「ほとんどなし」はわずか6.8%でしかない。

   特に、妻が正規雇用で就業継続しているケースでは、夫の家事の頻度は日常的が39.5%、育児の頻度は日常的が45.7%と高くなっている。

◆「人口問題」シリーズを総括して

   詳細については、これまでの各回をご覧いただきたいが、概観すると少子化は、未婚者の若者層が異性に対する興味を失い、生涯独身を望む傾向が強まっていること。家族や子どもを持つことに対する意味を失い、未婚化・晩婚化が進んでいること。

   これらに加え、既婚者でも家族や子どもを持つことに対して、未婚者と同様の考えが増えていること。そして、25歳未満の既婚者は経済的理由で、35歳以上の既婚者は高齢出産に対する精神的・身体的理由で子どもを作らないことなどが、要因となっている。

   育休制度などの子育て支援制度は、妻の就業継続に効果が出ているものの、少子化はこうした支援制度とは別次元の異性に対する感情・興味や結婚、家族、子どもといったことに対する考え方が影響しており、その対策には支援制度とは別のアプローチが必要なのだろう。

◆鷲尾香一とさぐる混沌日本の歩き方~「人口問題」シリーズ
【1】未婚者の結婚の意思は、この40年でどう変化したか? 「一生結婚するつもりない」は増加し、独身生活で「行動や生き方が自由」を重視【人口問題1】(鷲尾香一)
【2】未婚者が結婚相手に求める条件...2000年代に入って、男性は女性に「経済力」、女性は男性に「経済力」「容姿」求める割合高まる【人口問題2】(鷲尾香一)
【3】晩婚化の原因は、出会いの遅れか?交際期間が長引いたからか? あるいは、「見合い結婚」が減った影響もあるのか?【人口問題3】(鷲尾香一)
【4】結婚当初に「希望した子どもの数」と「完結出生子ども数」はなぜ差が出てしまうか? 「子どもを持つ理由」にも変化が【人口問題4】(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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