結婚当初に「希望した子どもの数」と「完結出生子ども数」はなぜ差が出てしまうか? 「子どもを持つ理由」にも変化が【人口問題4】(鷲尾香一)

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「今後も子どもを作る予定」妻の就業状況...正規雇用は2010年の19.5%→2021年の43.7%

   子どもを持つうえでの経済的な対応は、妻の就業状況にも現れている。

   2010年からの動きを見ると、「今後も子どもを作る予定」の妻の就業状況は、正規雇用が急速に増加しており、2010年の19.5%から2021年には倍以上の43.7%となっている。

   「末子が0~2歳で今後は子どもを作らない」妻の正規雇用も16.3%から38.1%に、「末子が3~5歳で今後は子どもを作らない」妻は14.5%から28.2%といずれも倍近く増加しているものの、今後も子どもを作る予定の妻に比べて正規雇用の増加幅は小さい。

   一方、今後は子どもを作らない妻のパート・派遣の割合が増加している。特に、従来から幼児期の子育てが終了し、再び働き始める妻が多い末子 3?5 歳では、パート・派遣の割合が4割近くに増加している。(グラフ4)

   これは、妻本人の就業形態の希望もあるだろうが、子どもを産み、幼児期の子育てを終えてからの「正規雇用としての再就職が難しい」ことの表れでもある。

   調査時期がずれるが、2019年までの第1子出生年別の出産による妻の就業変化を見ると、1985~89年には育児休業制度が整備されていない企業も多かったこともあり、就業継続は育休の利用と利用なしの合計で23.9%だったが、育休制度の整備とともに就業継続の割合は増加し、53.8%と半数を上回っている。

   これは育休利用による就業継続は1985~89年には5.5%だったのに対して、2015~19年には42.6%と7.7倍も増加していることでも明らかだ。就業継続の約8割が育休を利用しており、育休制度の有効性が示されている。(グラフ5)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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