業種別、最多に「飲食業」が浮上
雇用調整助成金等の不正受給を公表された667社のうち、個人企業等を除く485社について、東京商工リサーチの企業データベースで分析すると、産業別では「サービス業他」が213社で最も多く、構成比で43.9%を占めた。
次いで、「建設業」の59社(構成比12.1%)、「製造業」48社(同9.8%)と続く。「金融・保険業」を除く9産業は、6月以降に公表が増加した。【表1参照】
細分化した業種別でみると、6月10日以降に26社増加した「飲食業」が66社で、前回調査で1位だった「建設業」の59社を上回って最多となった。
このほか、コンサルティング業などを含む「学術研究,専門・技術サービス業」と人材派遣業などを含む「他のサービス業」が、それぞれ40社、冠婚葬祭や美容業、旅行業などを含む「生活関連サービス業,娯楽業」が38社で続き、コロナ禍の影響を強く受けた業種が目立った。
法人設立日から公表日までの業歴別でみると、最多が「10年以上50年未満」の216社で、全体の44.5%を占めた。次いで、「5年以上10年未満」が135社(構成比27.8%)、「5年未満」が87社(同17.9%)、「50年以上100年未満」が47社(同9.6%)だった。
なお、業歴100年以上の老舗企業は公表されていない。【グラフ2参照】
東京商工リサーチが保有する企業情報全社の構成比と比べると、不正受給が公表された企業の構成比は「5年以上10年未満」で全体(構成比15.8%)を12.0ポイント上回り、他のレンジよりも際立って比率が高かった。
設立間もなく、経営基盤が強固といえない新しい企業が、コロナ禍で不正に手を染めた構図が浮かび上がる。
コロナ禍で、政府は企業の雇用維持を支えるため、雇用調整助成金の助成率と上限金額を引き上げる特例措置を実施した。緊急対応期間(2020年4月~22年11月)と経過措置期間(22年12月~23年3月)に支給決定した雇用調整助成金等は総額6兆3507億円に及んだ。