また、新手の詐欺事件が起こった。
今度は、ネットショッピングで商品を購入した消費者が、販売業者から「決済アプリを使って返金する」と言われ、スマートフォンで返金手続きを誘導されているうちに「返金」してもらうはずがいつの間にか「送金」してしまっていた、という手口だ。
国民生活センターが2023年9月27日に公表。「『○○ペイで返金します』には注意して!」と呼びかけている。
指示されるがまま○○ペイに数字を入力、気がついたら10万円送金
国民生活センターは、ネットショッピングで決済アプリを使った新たな手口の詐欺について、全国の消費生活センターなどに相談が寄せられていると注意を喚起した。ネットショッピングで商品を購入した消費者が、「○○ペイで返金します」と言われた場合には、詐欺を疑うよう呼び掛けている。
たとえば、こんな相談事例が寄せられた。
【事例1】美容機器をインターネット通販で注文し、支払いは外国人と思われる個人名義の口座に代金を振り込んだ。商品到着は入金確認後1週間程度のはずが、予定日を過ぎても届かなかったため電話をしたが、呼び出し音が鳴るだけで繋がらず、メールで問い合わせをしても2、3日後に連絡すると返信があったきり連絡がなかった。
ところが、昨日、外国人と思われる男性から「注文商品の件で」と突然電話があり、「商品が準備できないので返金する」と言われ、LINEでの友達登録を求められた。その理由を尋ねると、「○○ペイでしか返金対応していないから」と言われた。怪しい。(40歳代の女性、2023年8月受付)
【事例2】ネット通販で約7000円のアクセサリーを購入した。支払方法は銀行振込のみで、事業者に振り込み完了メールを送った後、「在庫が欠品しているため、注文をキャンセルします」というメールが届いた。
「払い戻しは○○ペイで行います」との内容で、LINEの友達登録をするよう指示があり、ビデオ通話で指示をされるがまま○○ペイに数字を言われて入力した。何度か相手から「失敗している」と言われ、複数回操作した結果、約10万円の送金していることがわかった。返金してほしい。(50歳代の男性、2023年9月受付)
「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑ってください!
事例からわかる詐欺の手口はこうだ。
ネットショッピングしたが商品が届かない。→ メールや電話でショップから返金の連絡がある。→ LINEでやり取り。「払い戻しは○○ペイで行います」と誘導され、リンクをタップすると○○ペイの画面が開き、言われるままに操作する。→ 返金してもらうはずが、送金してしまった。
――こんな具合だ。
現金を持たず、スピーディーで利便性の高いキャッシュレスは、急激に普及している。いまや「○○ペイ」と呼ばれる決済アプリは全盛の時代だ。
ネットショッピングだけではない。利用時にポイントがたまることもあり、一人でいくつもの決済アプリを使い分けて、買い物を楽しむ人は少なくない。利用者の拡大とともに、誰もが騙されてしまう恐れがある。
国民生活センターは
「ネットショッピングの代金を銀行振込しているにもかかわらず、返金は決済アプリで行うのは極めて不自然です。『○○ペイで返金します』と言われたら詐欺を疑い、相手の指示に従ってスマートフォン等を操作することはせず、最寄りの消費生活センターや警察などに相談してください」
と、消費者にアドバイスする。
なお、消費者ホットラインは「188(いやや!)」へ。