本書の主人公はピース君。ジグソーパズルの世界が舞台です。アナポコだらけのピース君はいつも一人ぼっちでした。「僕なんて、居てもいなくてもいいんだ」と思い始めます。
ハミングで世界中と歌いあう平和活動「Humming for PEACE」のシンボルマークでもあるピース君が絵本になりました。この物語をひも解いていきます。
『あなたは大切な1Piece: Humming for PEACE』かくばりゆきえ
地球上では誰もが大切なピース
誰もが欠けてはいけないピース。人と人とのつながりが希薄になりつつあるいま、私たちがもう一度繋がりを思い出して分かち合えることの大切さを理解しましょう。
寂しがりやで、友達が欲しくて、無理して自分を変えて努力するピース君。無理しすぎて、本当の自分が分からなくなってしまいます。このパートでは、読んだ多くの人が過去の自分に照射するに違いありません。しかし、身近な人の一言でピース君の気持ちが変化していくのです。
「僕はそのまんまでいいんだ」「そのまんまだからこそ、いいんだ」「誰かと合わせたり、ほかの誰かになる必要なんてないんだ」。誰もが必要とされる社会に向けて、誰もが唯一無二の存在であることをパズルの世界で表現した本書。私たちが、生きるうえで勇気や希望をもらえる、大切なメッセージが込められています。
人間であれば、誰にも欠点があるものです。そんな欠点も個性だと気が付くことで自己理解を深めるきっかけになります。こころ穏やかに、愉しくなったら、ハミングすればそれは多くの人にも伝わっていきます。平易なストーリーは誰もが共感しやすい内容です。
多くの人にこのメッセージが届くと、いまよりも世界が平和になるかもしれません。あわせて、必要な癒しや励ましが受け取ることができるはずです。平和を願う人が増えれば、世の中はかわっていきます。世界とは一人ひとりのみんなの心がつくっているのです。生きづらい心を、そっと優しさと愛しさでつつみ込みましょう。
戦争に正義など存在しない
過去の戦争で、私の祖父は2回出兵しました。私が小学生のころ、命は助かったものの奇跡だったと話してくれたのを覚えています。いま、ロシアとウクライナでも多くの人たちが戦争に巻き込まれています。停戦の糸口はまったく見えていません。それどころか、多くの人の命が理不尽に奪われています。
戦争とはどういうものか、人が死ぬとはどういうことなのか。決して戦争は起こしてはいけません。もし日本が戦争に巻き込まれたら、それはどんな事態か。どうやったらそれを回避することができるのか、または可能なのか。私たちは必死で考えなければいけません。日本の政治家に、この本を読ませたい。または、ハミングに参加をしてもらいたい。
広島発、平和のメッセージ
本書の著者、かくばりゆきえさんは、2023年10月10日にハミング(鼻歌)をテーマにした参加型平和イベント「世界同時ハミングデー」を開催します。世界同時ハミングデーの目的は、世界同時にリアル・オンラインでつながり、言語の壁をこえて、1つの歌でつながる「ハミング」で、世界中が平和な心で一つになることにあります。
ハミングには歌詞はありません。笑顔・ジェスチャー・声のトーンなどと組み合わせて、心でつながりあえる機会に特徴があるのです。東京会場では、元格闘家の大山峻護氏と講演家の古市佳央氏が主催し参加者を募り広島本会場の様子を中継しつつ同時開催のイベントを実施します。
宮城会場では、下増田児童センターの取り壊し前の壁に、世界同時ハミングをききながら、平和の絵を描いていくライブペイントが行われます。いまの時代にこのような取り組みは大変意義があります。私も何らかの形で参加したいと考えています。(尾藤克之)