「空の脱炭素」持続可能な航空燃料の製造に期待高まる「日揮ホールディングス」【脱炭素銘柄をねらう】

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   国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年の航空業界の二酸化炭素(CO2)排出量は世界でおよそ7億トンにのぼるという。国連の専門組織、国際民間航空機関(ICAO)は2050年に国際線からの排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、欧米諸国は「空の脱炭素」に舵を切っている。

   日本でも、脱炭素に向けては水素の活用のほか、再生航空燃料(SAF=Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)や低燃費機材の導入といった技術革新、効率的な経路による運航改善などの対策を進める。

   なかでも、SAFはすでに航空機で利用が始まっているし、日本政府は2030年から石油元売りに対して国内の空港で国際線に給油する燃料の1割をSAFにすることを義務付ける。そういった燃料の調達網や生産体制の整備などが課題となるなか、日揮ホールディングス(HD)が「SAF」の商用化に動き出している。

「将来の成長エンジン」はSAF

   日揮HDは、「統合報告書2022(JGC・Report)」や統合報告書を構成する「中期経営計画『BSP2025』の進捗」の中で、3つの重点戦略として「EPC事業のさらなる進化」「高機能材製造事業の拡大」「将来の成長エンジンの確立」を掲げている。

   そのうちの「将来の成長エンジンの確立」では、資源循環・SAF(持続可能な航空燃料)を掲げ、次の2例をあげている。

・廃食油を原料としたSAFサプライチェーンモデルの実証をレボインターナショナル、コスモ石油、小田急電鉄と共同で推進。

・国産SAFの商用化および普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FORSKY」を設立。

   こうしたなか、東京都のSAF製造に向けた公募事業「廃食用油回収促進に係る事業提案」に、日揮HD、コスモ石油、レボインターナショナルの3社による共同提案事業が採択され、東京都と協定を締結したことを2023年8月3日、3社が連名で発表している。

   3社の役割分担については、(1)日揮HDが取り組み全体を主導するとともに、協力自治体、企業などの探索を行い、(2)コスモ石油は回収した廃食油の品質確認、回収拠点としてのサービスステーションの利用などの検討並びにSAFの製造、供給を、(3)レボインターナショナルは廃食油の収集、市民回収ノウハウの提供を担っている。

   日揮HDの「将来の成長エンジンの確立」に向けた取り組みが、順調に滑り出しているようだ。

日揮HDの強み、プラント建設で断トツ

   ところで、日揮は「2050年問題」(30年後に世界規模で地球環境が現在よりも悪化することを懸念すること)をどう捉え、どのように取り組もうと考えているのか――。

   日揮HDの佐藤雅之代表取締役会長CEOは「統合報告書2022(JGC Report)で、

「2021年に策定した日揮グループの長期経営ビジョン『2040年ビジョン』では、自らのパーパス(存在意義)を『Enhancing(高める) planetary health』と再定義し、解決すべき社会課題として『エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立』、『資源利用に関する環境負荷の低減』、『生活を支えるインフラ・サービスの構築・維持』を掲げました。
そして、ビジネス領域はこれまでのオイル&ガス分野主体から、『エネルギートランジション』、『ヘルスケア・ライフサイエンス』、『高機能材』、『資源環境』、『産業・都市インフラ』の5つの分野に拡大する方針としました」

と、決意を表明している。

   SAF(持続可能な航空燃料)は「資源環境」に位置づけられ、重点政策3本柱の一つに取り上げられていることがわかる。

   「会社四季報2023年4集 秋号」によると、日揮HDは総合エンジニアリングで国内首位。海外でLNG(液化天然ガス)や発電などのプラントを手がける。再生可能エネルギーや水素関連にも注力する。

   優れた技術力を有し、常に先を見据えた経営を推進。今期(2024年3月期)は、ビジネス領域を上記の5つの分野に拡大したことに伴う業績向上も期待できる。

   今期の経常利益は、前期比マイナス5.1%減益の見込みだが、今後の売り上げに結びつく、プラントの期初受注残の1兆5634億円(前期比3割増)を抱えることで、来期(25年3月期)の経常利益は2.1%増を見込んでいる。PBR(株価純資産倍率)は1.21倍で、東証が目指す1.0倍をクリアしていることもある。

   日揮HD株は、2017年3月に2000円で100株取得したのを手始めに売買を繰り返し、これまで300株を売却して9万3000円の売却益を得た。現在200株を保有(9月28日現在22万円の含み益)している。今後の業績拡大を見込んで、2500円~3000円での売却を考えている。

   ちなみに、10年長期チャートの高値は2014年1月の4259円となっている。

【日揮ホールディングス(1963)】
年初来高値 2023年9月15日●2291円50銭
年初来安値 2023年3月17日●1533円00銭
直近 終値 2023年9月28日●2130円00銭

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