イマドキの学生の関心が高いのは「配属ガチャ」と「福利厚生の充実」
一方で、勤務地や職種に対する考え方では、「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して、選びたい」が「54.0%」で最多になった。
次いで「勤務地は自分で選びたいが、職種は適性をみて会社に判断してほしい」が「32.9%」、「職種は自分で選びたいが、勤務地は適性を見て会社に判断してほしい」は「7.6%」、「勤務地も職種も、適性を見て会社に判断してほしい」は「5.5%」となった。
この結果に対してマイナビでは、「学生の『配属ガチャ』への不安を反映して『勤務地・職種ともに自分で適性を判断して、選びたい』が54.0%で、『職種は自分で選びたいが、勤務地は適性をみて会社に判断してほしい(7.6%)』を加えると、61.6%が職種を自分で選びたいと回答している」としている。
こうした新卒者の不安感を感じてか、企業でも対策を行っている。「職種別コースを設定している ※職務を限定しない枠(総合職等)の設定はない」が「39.5%」。次いで、「職務を限定しない枠(総合職等)のみ(『一般職』『地域色』など勤務地限定や待遇が異なるが、職務を限定していない)」が「36.8%」、「職務を限定しない枠(総合職等)を含む、職種別コースを設定している」は「23.6%」となった。総合職としての採用でなく、職務別コースを設定しているのは2046社のうち、「63.1%」という結果になった。
また、2024年卒の学生の特長として勤務先、仕事内容に関心が高いがそれ以上に「福利厚生」への関心が高いようだ。調査によると、「福利厚生に関心があるか?」の質問に、「勤務地・仕事内容・給料よりも関心がある」は「6.4%」、「勤務地・仕事内容・給料と同程度関心がある」は「63.4%」となり、あわせて「69.7%」の関心があると答えている。
こうした、学生のニーズから、採用企業も広報で強みにしている内容を「福利厚生の充実」(71.5%)、「社風や雰囲気の良さ」(69.9%)、「研修など人材育成の制度の充実」が「53.6%」としてアピールしているようだ。
さらに、求人広報の強みとして人事制度等でPRしていることは「有給休暇の取得率」(55.5%)、「残業がないこと、残業時間が少ないこと」(43.4%)、「育児休業取得後の職場復帰率」(39.0%)が上位を占めた。
これまでの調査の総括として、マイナビキャリアリサーチラボの東郷こずえ主任研究員は以下のようにまとめている。
「24年卒の新卒採用は新型コロナウイルス感染症の5類移行が決定するなど、全体的に明るい話題のなかスタートしました。
企業側の採用意欲はより高まり、売り手市場の様相を呈していたと思います。
学生のニーズに答えたい企業は『配属ガチャ』対策として職種別コースの設置や配属先を事前に告知するなどの工夫を行い、『福利厚生』への関心の高さに応えるために、採用広報でPRする企業が多く見られました。」
「このように言うと学生の立場がとても強いように思われるかもしれませんが、必ずしも学生が楽をしていたとは言い切れません。『配属ガチャ』や『福利厚生』への関心の高さの裏側には共働き志向の高まりなど、働き方への意識変化によって、就職先を決める際に、仕事だけでなく人生全体を捉える様子がうかがえます」