1か月の政府全面閉鎖で、米国GDP成長率0.32%下落
こうした事態をエコノミストはどう見ているのか。
問題はどのくらいの期間、政府閉鎖に追い込まれるかだが、過去のケースから経済への影響を分析したのが、第一生命経済研究所主任エコノミストの前田和馬氏だ。
前田氏はリポート「政府閉鎖による米国経済への影響~1か月の全面的閉鎖で10~12月期GDP成長率をマイナス0.32%ポイント下押し~」(9月28日付)のなかで、仮に大半の政府機関閉鎖が1か月続いた場合、10~12月期実質GDP成長率(前期比)はマイナス0.32%と試算した。
さらに、さまざまな影響が予想される。
「今回の政府閉鎖では、雇用統計やCPI(消費者物価指数)などの主要経済指標の公表が延期される可能性がある。また、過去の政府閉鎖はつなぎ予算の失効時に生じることが多く、つなぎ予算成立後も当面政府閉鎖の可能性が燻り続ける場合、金融市場の不安定な動きを誘発するリスクがある」
とりわけ、株価への影響については、政府閉鎖直後のS&Pの推移を示したグラフ【図表】を示しながら、こう指摘した。
「過去の政府閉鎖前後におけるS&P、および10年長期金利の推移を見ると、株価は横ばいから上昇、金利は横ばいから低下したことが多く、市場への影響は限定的に留まったと解釈できる」
ただ、問題なのは今回、年度初めの10月に政府閉鎖のリスクがあることだ。過去6回のうち、年度初めの10月1日に政府閉鎖に陥った例は2013年だけ。残り5回はつなぎ予算の失効時に生じた。前田氏はこう懸念を示す。
「現時点で合意しているつなぎ予算は、11月17日までの政府機関の閉鎖を回避するものであり、仮に同予算が成立し、政府閉鎖が回避される場合においても、こうしたつなぎ予算の失効が近づく際に政府閉鎖の可能性が再燃するリスクに留意が必要であろう。
断続的な政府閉鎖や閉鎖期間の予想以上の長期化が懸念される場合、これまでのパターンと異なり、株安金利高のリスクが顕在化する可能性がある」