総合求人サイト『エン転職』を運営するエン・ジャパン(東京都新宿区)は2023年9月25日に、ユーザー8857人を対象にした「ハラスメント」についてアンケートの結果を発表した。
それによると、職場でハラスメントを受けたことがある男女の比率は男性が63%、女性が60%、男女でほとんど差がなかった。また、受けたことのあるハラスメントは「パワハラ」が90%で、次いで「セクハラ」が22%で続いた。
担当窓口の設置などのセクハラ対策を行っている業種では、「金融・保険」が69%で最多となり、「官公庁・独立行政法人・団体」の54%が続いた。一方で、対策を実施していない業種は、「商社」で46%、「不動産・建設・設備」で45%という結果が得られた。
30代・40代のハラスメント経験は6割強、20代は4割程度
はじめに、「これまで職場でハラスメントを受けたことがありますか?」と聞くと、「ある」は「62%」で過半数を超え、「ない」の「38%」を上回った。
続いて、年代別でハラスメントの有無を聞くと、30代から40代以上は6割~7割ハラスメントの経験があるが、20代では「ある」が「47%」だった。男女別では、男性は「63%」、女性は「60%」の人がハラスメントの経験があるようだ。
つぎに、受けたことのあるハラスメントの種類を年代別で聞くと、トップになったのは「パワハラ」で「90%」となった。次いで「セクハラ」が「22%」、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が「9%」、「エイジハラスメント(エイハラ)」が「5%」、「マタニティハラスメント(マタハラ)」が「4%」という順になった。
特に、20代のセクハラが「31%」、40代以上の「パワハラ」が「93%」と全体よりも多いという特徴があった。
男女別では、男性の「パワハラ」被害が「96%」と全体値よりも6ポイント高くなり、女性の「セクハラ」被害は「39%」と全体値より17ポイント高かった。
寄せられている具体的なエピソードでは――。
●「パワハラ」
・上司の立場を利用して断れない業務を押し付けられる。さらに全体朝礼で、皆を笑顔にするためという名目で全員の前で笑えと言われる。(24歳男性)
・全員仕事が終わっており、退勤時間になっても上司が良いと言うまで帰れない。(29歳女性)
・入社後に契約時の条件と違うことを強要され、それに対して意見をしたところ「この通りに働けないのであれば業務不履行になるので解雇する」と言われ、無理矢理働かされた。(39歳女性)
●「セクハラ」
・新入社員の中で1番かわいい、きれい、推しだなどの発言。メガネを取った方がいいから、外して見せてとしつこく言われた。(22歳女性)
・同性の上司に複数回、尻を触られた。(24歳男性)
・事務職の女性の中で1番体格が大きいのですが、差し入れのお菓子を頂いた時に「もっと大きくなるね」と悪気なく言われた。(28歳女性)
●「カスハラ(カスタマーハラスメント)」
・ご来店のお客様から、スタッフへの大声での恫喝、無理難題の強要。(28歳女性)
・コールセンター勤務の時に第一声が怒号で始まるユーザーが多々いた。(29歳男性)
・写真や動画を勝手に撮られ、「接客が良くなかった」とコメント付きでSNSに投稿された。(31歳女性)
かねてから問題になっているセクハラの被害や、昨今問題になりはじめたカスハラの被害もあることがわかる。
相談しなかった理由...「相談しても解決にならないと思ったから」71%
では、ハラスメント対策として行っていることはあるのだろうか?
職場でハラスメントを受けた際に誰かに相談したかを聞くと、「上司」(31%)、同率で「誰にも相談していない」(31%)、「同僚」(25%)、「家族」(19%)、「先輩」(15%)という順になった。「人事」(6%)、「社内の相談窓口」(5%)、「社外の相談窓口(労働局)」などは軒並み低かった。
一方で、「職場でハラスメントを受けた際、誰にも相談しなかった」と回答した人に、相談しなかった理由聞くと、「相談しても解決にならないと思ったから」が「71%」、「仕事で不利益が生じると思ったから」が「28%」、「相談できる窓口や担当部署がなかったから」が「26%」、「社長や経営層がハラスメントしているから」が「23%」という結果になった。
ところで、職場でハラスメント対策は進んでいるのだろうか? ハラスメント対策をしている事業所は「41%」、「実施していない」は「33%」、「わからない」が「26%」となった。
また、業種別で「ハラスメント対策を実施している」と回答した方が多くなったのは「金融・保険」で「69%」が最多。次いで「官公庁・独立行政法人・団体」が「54%」が続いている。
他方で、「実施していない」の回答が多かったのは「商社」が「46%」、「不動産・建設・設備」「45%」という結果になっている。
さらに、具体的なハラスメント対策は「相談窓口の設置」(79%)が最多で、「ハラスメントに対する自社の方針の周知」が「46%」、「ハラスメントに関する研修の実施」が「45%」と続いた。
なお、この調査は2023年7月27日から8月28日までに、『エン転職』を利用するユーザー8857人を対象にインターネットアンケートを行ったもの。