画期的な「年収の壁」解決法となるか? 岸田首相の対策が遅すぎるので...時給が上がれば、扶養を外したくなる「時給相場の壁」活用しよう!

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働き損にならず、「年収の壁」を気にせず働ける時給相場を探そう

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「年収の壁」より「時給相場の壁」に注目を(写真はイメージ)

   「年収の壁」に直面している女性たちは、今回の調査をどう生かせばよいのか。J‐CAST 会社ウォッチ編集部では、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。

――この調査の狙いと目的は何でしょうか? また、この時給の壁のグラフを、働く女性はどう活用したらよいでしょうか?

川上敬太郎さん 扶養をめぐる年収の壁は、少し超えてしまうと働き損が起きる懸念など、さまざまな課題を抱えていますが、制度としてすでに定着しているだけに改正すると影響が多方面に及びます。
そのため、これまでにも何度も抜本改正の話は持ち上がってきましたが、ズルズルと現在に至っている感があります。
ただ、年収の壁の影響を最も大きく受けるのはパート層ですが、これまでパート層の賃金は低く抑えられてきました。最低賃金は上昇を続けていますが、今のように時給がジリジリ上がる状況だと、かえって就業調整して扶養内に収めようとしたり、そのために勤務できる時間が減少して仕事しづらくなったりすることもあります。
そのような状況に対し、短時間勤務であっても高い時給を支払うことができれば、働き損になる水準を超えやすく、そもそも年収の壁を気にせず働くことができるのではないか。
だとしたら、その水準はどのあたりにあるのかを探ろうとしたのが、今回調査した狙いと目的です。働いている方々には年収の壁ありきではなく、ご自身に最適な仕事を探す際に、「年収の壁を気にせず働ける時給の仕事」という観点も加えていただければと思います。
まだ決して多くはないかもしれませんが、時給相場は上昇傾向にあるので、探してみることで新しい可能性を発見できる余地が生まれてきます。

――政府は、「106万円の壁」には、従業員の保険料負担を軽減する企業に対し、1人最大50万円の助成金を出す、また、「130万円の壁」では一時的に年収が130万円以上になっても、企業が「一時的」との証明を出せば、2年間扶養から外れないようにする措置を発表しました。
この措置をどう評価しますか。抜本的な解決になるでしょうか。

川上敬太郎さん 今回の施策は決して抜本的な改革となるものではなりませんが、抜本的な改革を行うまでのつなぎとして、苦肉の策だったと思います。救済措置であり、その点は評価できるのではないでしょうか。
ただ、そもそもすでに年収の壁をめぐる制度は難解です。住民税や所得税、健康保険に年金と、それぞれ異なる制度のルールが混在しています。そこにさらに新たなルールを加えることで、余計にややこしくなった印象も受けます。
そのため、今回の措置がどの程度浸透するかは、いかにわかりやすく周知できるかがカギを握ると考えます。
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