三菱自動車株、年初来高値を更新...上値追う展開に 米メーカー工場ストで需要拡大の思惑、主力車種の値上げ浸透も...業績向上に期待感

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   三菱自動車の株価が2023年9月中旬以降、連日、年初来高値を更新して上値を追う展開になっている。

   ここへきて特に新たな材料が出てきたわけではないが、もともと足元の業績が堅調ななか、米国で米メーカーの工場ストライキが断行されたことで日本車の需要が拡大するとの思惑が広がったようだ。

   また、主力車種の値上げ浸透、円安定着といった業績向上に資する材料への期待も投資家の買いを誘っている。

米国販売が好調、円安効果もあり24年3月期通期予想を上方修正...最終利益100億円増の1100億円を見込む

   三菱自の業績を確認しておこう。

   2023年4~6月期連結決算は売上高が前年同期比20.2%増の6357億円、営業利益は46.7%増の451億円、最終利益は24.3%増の479億円だった。

   米国での販売が好調だったほか、円安の効果もあって最終利益は4~6月期として過去最高益だった。

   ただ、中国で3月以降、販売低迷を受けて新車生産を停止していることもあり、全体の販売台数は1割減の19万5000台だった。

   三菱自はこの第1四半期決算と同時に2024年3月期通期の業績予想の上方修正を発表。円安効果などから、最終利益は従来予想から100億円引き上げて1100億円(前期比34.8%減)を見込む。

   参考までに三菱自の4~6月期の世界の売り上げ動向をみると、日本1074億円▽北米(米国、カナダ、メキシコ)1061億円▽欧州273億円▽アジア(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)1263億円▽オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)748億円――というところだ。北米とともに東南アジアで稼いでいることがわかる。

   フルモデルチェンジのピックアップ『トライトン』、新型SUV『X FORCE』...投資家は東南アジアでの売り上げ動向を注視

   SMBC日興証券は8月22日配信のリポートで三菱自の目標株価を600円から640円に引き上げた際、「従来からの業績ドライバーであるASEANはリスクとオポチュニティが混在している」と分析しつつ、「7月のピックアップトラック『トライトン』のフルモデルチェンジと8月に発表された新型コンパクトSUV(多目的スポーツ車)『X FORCE』の収益寄与を注視したい」と記述した。

   投資家の間では、東南アジアでの売上増が期待されていることがうかがえる。

   一方、国内では2023年2月に主力SUV「アウトランダー」と軽の電気自動車(EV)「ekクロスEV」をそれぞれ5%前後値上げした。現状、販売には悪影響を与えておらず、こうした値上げの浸透も投資家心理を改善している模様だ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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