この5年間で、男性育休の実態に変化はあったのだろうか。
積水ハウス(大阪府北区)は2023年9月19日に、2019年から継続している「男性育休白書 2023」を発表した。同調査は、今回で5回目となる。
それによると、「育休を取得したい」という男性は2023年では69.9%となり、5年前の2019年の60.5%よりも9.4ポイント増加した。また、パートナー男性に「育休を取得してほしい」という女性は2023年では64.7%となり、同じく5年前の2019年の49.1%よりも15.6ポイント増加するなど、男性の育休取得への意向は男女とも向上している結果となった。
また、一般社員層に、職場の男性が育休を取得したときの気持ちを聞いた質問では、「育児の時間を大切にしてもらいたい」(80.5%)や「育児の応援をしてあげたい」(75.8%)との声が挙がるなど、こうした心遣い、制度設計によって、会社全体の育休取得の推進につながっていくのかもしれない。
育休取得率2019年は「9.6%」...2023年は「24.4%」に上昇
はじめに、男性の育休取得率の変化によると、2019年が「9.6%」だったのに対して、2023年は「24.4%」にまで上昇し、5年間で約2.5倍になっていた。また、育休取得日数についても、2019年は2.4日、2023年は23.4日と、5年間で約10倍になっている。前年(2022年)は8.7日だったので、約3倍に伸びているかっこうだ。
育休の意識についての質問では、「自分自身が育休を取得したい男性」は2019年が「60.5%」だったのに対して、2023年は「69.9%」と、緩やかに増加している。一方で、「パートナー男性に育休を取得させたい女性」では、2019年は「49.1%」だったが、2023年は「64.7%」と、15.6%増加しており、かなり意識が変わってきている。
続いて、職場の状況について、男性育休の取得に対するルールや仕組みが「ある」のは、2020年の「37.0%」から2023年は「42.1%」と5.1ポイント伸びている。また、「職場が育休を取得しにくい雰囲気がある」では2019年の「27.5%」から2023年は「22.2%」へ、5.3ポイント低下し改善した。企業による男性の育休取得に向けた環境づくりが、ゆるやかながらも前進しているようだ。
マネジメント層と一般社員層の育休に対する意識には違いはあるのか――。これについて、男性の育休取得に「賛成」するマネジメント層は、2022年の「78.3%」から2023年には「80.3%」に増加している。
また、「男性の育児休暇を浸透させるべき」と回答したマネジメント層は2022年が「71.3%」だったのに対し、2023年は「76.8%」となっており、徐々に男性の育児休暇を取り巻く環境は変わってきている。
このほか、「育児を取得した職場の男性に対する思い」として、一般社員層に、職場の男性が育休を取得したときの気持ちを聞いた。その結果、「育児の時間を大切にしてもらいたい」(80.5%)や「育児の応援をしてあげたい」(75.8%)など、応援の声が多くなっている。そのうえ、「77.1%」の人が「誰かが取得すれば取得する人は増えると思う」と答えており、個人の育休取得は会社全体の育休取得の推進につながるのかもしれない。