社員の活躍とキャリア自律を大きく進めた『本物の1on1』の力/NTTコミュニケーションズ【人を活かす先進企業に学ぶ 第1回(3)】(前川孝雄)

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若手は適性見極めのため多くの経験を 育児との両立女性には夫婦間の相談を

前川 「セオリー」にも書かれている方針や内容で、浅井さん中心に直接面談をした結果、社員にはどのような変化や成長が見られたのでしょうか。全体的な傾向や印象的な事例について、若手、中堅、ミドル・シニアなど、「セオリー」の構成にも沿うかたちでご紹介いただけますか。

浅井さん まず若手ですが、今年からなくなった制度で、昨年まで若手は新卒4年目で必ず人事異動がありました。そこで、自分はどう希望を出せばよいかという相談が圧倒的に多かったのです。いわゆる「やりたいことが見つからない」問題です。
 そこで私たちは、本人に「今すぐ見つからなくていい」と伝えました。今すぐ決めきるのでなく、たとえば「28歳までに自分の適性を決める」と時期だけ定める。そして、それまでは多くの経験をすればいい。または、10年目くらいまでの数回の異動では、むしろ畑違いの仕事をしてみる。そして自分の得意を見つけたら、11~12年目くらいからそれをずっと磨いていけばよいと話しました。これはだいぶ腹落ちしたようで、若手世代にはこのスタイルがかなり定着しました。

前川 なるほど。それは若手自身のキャリア観づくりを助ける、よいアドバイスですね。

浅井さん 中堅層は、昇格・昇進がモチベーションになる世代なので、あまり進路相談は多くありません。ただ、女性からの育児との両立についての相談が圧倒的に多いです。評価と昇進が気になる時期でもありながら、ライフイベントが忙しく、結婚、出産、育児、マイホームづくりと重なります。
 そこでのアドバイスの一つは、よく夫婦間で話し合いをすること。場合によっては、妻のほうが出世して、夫が主夫になる選択肢もあるかもしれません。また、現在の会社や部署は出産してから昇進を目指すのがいいか、その逆がいいか。それも考慮して生む時期をどう考えるかなどの話は、とても響きますね。

前川 そこまで具体的な相談を、HR部のスタッフが行うのですか。

浅井さん HR部には、特にこうしたテーマに強いFP資格もある女性のキャリアコンサルタントがいますから、相談内容によって担当してもらいます。
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