社員の活躍とキャリア自律を大きく進めた『本物の1on1』の力/NTTコミュニケーションズ【人を活かす先進企業に学ぶ 第1回(3)】(前川孝雄)

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上司自身のキャリア観の変化に期待

前川 「セオリー」の共有や学習を通して、上司自身のキャリア観に変化がありましたか? あったとすれば、どのようなものですか?

浅井さん 実際に、この「セオリー」を見た管理職が、自分はこのままさらに上の部長職を目指すべきか、専門性を伸ばすべきかと相談に来る例が増えてきています。これは「セオリー」がトリガーになって管理職に及ぼした一つの効果であり、成果だと思います。

前川 最近、管理職になることを避けたい、昇格に意義を感じないという若手が増えています。しかし、管理職になることで、一人で成し得ない大きなやりがいのある仕事ができ、部下を育てることができる醍醐味があると思うのです。けれども、単に組織の中で課長や部長になる職位自体が目的化してしまうと、周りからは魅力が感じられなくなってしまうものです。

浅井さん そうですね。私は取締役からも相談を受けたことがあります。「俺は社長の意に沿わなかったので、専務になれなかった。どうしたらいいか」と。しかし、社長以外は、全員どこかで昇進が止まるわけです。

前川 そういう人は、会社の中の職位が固着して自分のプライドになってしまっているのですね。多種多様なキャリア自律が広がっていく先には、自分は課長や部長だから偉いんではなく、一人ひとりが「こういう仕事ができているから、働きがいがあり、楽しいんだ」と言える状況になるとよいですね。

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