上司に求められる、仕事やキャリアの「意味づけ力」
浅井さん 組織や上司は、部下本人の価値観や成長実感を個々に把握して、そこに投資していかなければなりません。
それには、本人が学びたい教育機会の提供もありますが、何が成長なのか、本人の成長に気づかせることも大切です。昨日できなかったことが今日はできるようになった。これも立派な成長です。上司にはそれを本人に伝えてほしいし、私たちキャリアデザイン室の役割でもあると思います。
前川 本当にそれは大事ですね。私も常々主張しているのですが、「キャリア自律」が求められる現代なので、上司には部下の仕事やキャリアの「意味づけ力」が求められるようになってきています。
今の仕事は、あなたのキャリアにとってどういう意味があるのか。また組織のパーパスにとってどういう意味があるのか。そのことを明確に伝えることができてはじめて、本人に自分の成長に気づいてもらえるのですからね。
<社員3000人との面談成果が「発奮・スタンスセオリー」に結実!/NTTコミュニケーションズ【人を活かす先進企業に学ぶ 第1回(2)】(前川孝雄)>に続きます。
【プロフィール】
大原 侑也(おおはら・ゆうや)
NTTコミュニケーションズ株式会社
ヒューマンリソース部 人材・組織開発部門 部門長
2001年NTTコミュニケーションズ(株)入社。主にプロジェクトマネージャーとして公共分野のICT活用を推進。その後、飲食業界のITコンサルティング、ソリューションサービスの企画を経て、スマートエデュケーション推進室長として、学校教育・企業教育のDX化に従事。2023年7月より現職。社員のキャリア自律と対話協働する組織開発に取り組む。
浅井 公一(あさい・こういち)
NTTコミュニケーションズ株式会社
ヒューマンリソース部 人材・組織開発部門 キャリアコンサルティング・ディレクター
企業内キャリアコンサルタントとして、ミドルシニアを中心に約3,000人のキャリア開発に携わり、面談手法を指導したマネージャーも1000人を超える。圧倒的面談量をもとに築き上げた独自のキャリア開発スタイルにより75%の社員が行動変容を起こす。共著に「ビジトレ」(金子書房)、キャリア支援者のための私塾「浅井塾」(HRラボ社)を開講。
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。