40年未満の原発でも、経年劣化による事故が相次ぐ...重み増す規制委の責任
実際、40年に満たないなかでも、高浜3、4号機は2018年以降、原子炉につながる蒸気発生器内に長年の運転で鉄さびの薄片がたまり、配管に当たって傷つけるトラブルが相次いで再発した。
2004年には、運転年数が30年に満たない関電・美浜3号機で、点検リストから漏れていて一度も確かめられなかった配管が、経年劣化で薄くなって破れ、熱水と蒸気が噴出して5人が死亡、6人が重傷を負った事故は、なお記憶に鮮明に残る。
東京電力・柏崎刈羽原発(新潟県)では、7号機タービン建屋の配管が11年間点検されず、腐食で穴が開いたことが22年10月に発覚した。
40年に満たない原発でもこうなのだから、40年超、まして60年超の安全規制となれば、経年劣化がどのように進んでいくのか。実例やデータの蓄積を含め、規制委の山中委員長自身の言葉のように、まさに「未知の領域」(2022年12月の記者会見)となる。
岸田政権は、原発の新設、リプレース(建て替え)も進める方針だが、「電力各社がコストのかかる原発を新たに建設するとは思えない」(電力業界関係者)というのが大方の見方だ。老朽化する原発を使い続けるとすれば、規制委の責任は一段と重みを増す。(ジャーナリスト 岸井雄作)