高浜原発2号機も再稼働、40年超運転3基目に...5月法改正、実質「60年超時代」突入に危うさ 経年劣化は「未知の領域」、拭えぬ安全審査への不安

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どうする安全審査...「具体方法まだ」と委員1人が反対...規制委、「60超容認」への方針転換局面で異例の多数決に

   福島第一の事故後の新規制基準をクリアした原発で、運転開始から35年を超えるのは4原発8基あり、高浜1、2号機と美浜3号機のほか、日本原子力発電・東海第二原発(茨城県)がすでに60年までの運転延長が認可されている。九州電力・川内1、2号機(鹿児島県)と関電・高浜3、4号機は審査中だ。

   60年超運転を可能にする新制度では、運転開始30年以降は最長10年ごとに安全性を審査する。

   ただ、規制委の山中伸介委員長は「条件が変わらなければ、合格しているものは(新制度でも)合格になろうかと思う」と述べており、これまでに延長を申請した原発が認可されなかった例もなく、古い原発への依存を強めていくことになる。

   世界的には60年超運転の実績はない。

   国際原子力機関(IAEA)によると、既に廃炉になった原発を含め、2023年1月現在、運転が世界最長の原発はインドのタラプール原発1、2号機の53年2か月。米国は原則40年だが、40年超運転の原発6基が、80年まで運転延長を認可されている。

   さらに、英国とフランスは運転期間に上限はなく、10年ごとの審査が義務付けられているなど、運転期間について世界的な基準はない。

   実際の審査をどう進めるか、規制委は検討チームを設け、60年以降の経年劣化に関する具体的な評価方法の議論に着手している。

   だが、2月の規制委会合では、石渡明委員が「60年以降にどのような規制をするのか具体的になっておらず、安全側への改変とはいえない」として、60年超容認への方針転換という重要案件で、委員の1人が反対して多数決で決まるという異例の事態になった。

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