ふるさと納税、拡大続く...22年度寄付総額は1兆円目前、3年連続で過去最高更新 気になる上位自治体の固定化、恩恵大きい富裕層...高まる抜本見直し論

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税流出、大都市圏に大打撃...減収額1位は横浜市の272億円 地方交付税不交付の自治体には補填なし、行政サービスに支障きたす恐れも

   寄付に伴う大都市圏からの税の流出は深刻だ。

   寄付した人は居住地の住民税が軽減される。ふるさと納税の影響で最も税収が減るのは横浜市で、減収額は約272億円。2位は名古屋市の約159億円、3位は大阪市の約148億円、4位は川崎市の約121億円、5位が東京都世田谷区の約98億円。

   流出分の75%は国からの地方交付税で補?されるが、財源には限りがある。財政が健全で交付税支給の対象外である自治体は補?されないため、打撃は大きい。

   たとえば、世田谷区は止む無く返礼品競争に参入し、寄付額は2.8億円(前年度の2倍)に増えたが焼け石に水。交付税不交付のため、国からの補填もなく、同区は行政サービスに支障をきたす恐れがあるとして、制度の見直しを訴えている。

   経費も問題だ。そもそも5割経費というのは、善意(だったとしても)の寄付の半分しか、実際の行政に使えないということで、返礼品の調達のかたちで地元にカネが落ちることを割り引いても、問題が多い。

   22年度の経費総額は4517億円と寄付の47%にのぼり、行政サービス全体に与えるマイナスの影響は軽視できない。

   「経費5割以下」の範囲についても、受領証明など寄付後の経費は含まれておらず、実質的な経費は5割以上に達すると指摘される。

   富裕層が有利というのも大問題だ。

   自治体への寄付のうち2000円を超える部分が、所得税と住民税から原則全額控除されるというのは、2000円を超える分の寄付額が丸々納めた税金から控除される(つまり返ってくる)ということだ。

   自分の腹がほぼ痛むことなく寄付先の返礼品を得られるのがそもそも問題だが、控除割合が住民税の約2割までとはいえ、納税額が多い人ほど多額の寄付をして高価な返礼品を得られる仕組みになっている。

   これでは寄付の美名で税制上の不公平を助長していると批判されても仕方がない。

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