約1500万人の「就労困難者」をゼロに...社会を変えるスタートアップの奮闘

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ネットワークすることで、巨大な就労継続支援事業所に

   ヴァルトジャパンのビジネスモデルの強みについて、起業のプロである守屋さんは、次のように評価している。

「全国に散在する就労継続支援事業所をデジタルの力でネットワークすることで、仮想的に巨大な一つの就労継続支援事業所を創り上げるという事業構造にある」

   一つひとつは小さくて弱いが、束ねて一つにまとめることが出来ると、とてつもなく強い、として、その規模をこう例えている。

「ローソンと同じ拠点数、トヨタの1.4倍の人数、ユニクロの倉庫の3倍の床面積」

   「NEXT HERO」に参加した事業所では、従来の工賃増加額と比較して約3万2000円増加するケースも生まれているという。5年後には仕事の流通総額300億円、現工賃の倍増超(平均)をめざしている。

   日本財団の調査を引用し、障害や難病、引きこもり、ニート、各種依存症など、生きづらさや働きづらさのある人は延べ1500万人と推計している。実に日本の8人に1人が困難を抱えているというのだ。

   障害者の雇用に取り組む背景には、日本の労働人口の減少がある。2040年には労働人口が現在より1500万人以上減少する反面、活躍したくても十分に活躍できていない就労困難者が1500万人いる。こうした労働市場の不均衡をバランスさせることはできないか、という問題意識である。

   多くの企業は障害者雇用における法定雇用率の達成を目指している。一方、こうした企業も含めて、なぜ企業は「NEXT HERO」に発注するのか。理由をいくつか挙げている。

・数十名、数百人を要する、大規模プロジェクトや案件に対応できる
・47都道府県に供給力を持つことができる
・より戦力となる、ベストマッチな障害者雇用につなげられる

   小野さんの「就労困難者ゼロ社会」という目標に向けて、官公庁や自治体、企業、そして当事者の連携によるプラットフォームは動き始めた。(渡辺淳悦)

「社会を変えるスタートアップ」
小野貴也著
光文社新書
902円(税込)

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