「就労継続支援事業所」の3つの類型
日本には障害福祉サービス「就労継続支援事業所」というインフラがある。企業で働く一段階手前の「中間就労」という位置づけで障害者が働ける、社会保障費を財源にしたものだ。
事業所には3つの類型がある。「A型」は、事業所と障害のある人が雇用関係を結び、仕事を提供する。内職やPC作業、清掃、製造などの仕事が多く、平均月収は7万7000円程度だという。
「B型」は最も多い事業所のタイプで、非雇用型で個別の作業に対して工賃が支払われる。平均月収は1万6000円ほど。
「移行型」は、企業へ就職するための職業訓練施設で2年の期限付き。基本的に収入はないが、工賃が発生する作業をした場合は利用者に支払われる。
小野さんが最初に構想したのは、障害者によるリモートコンシェルジュサービスだった。ICTを活用することにより、電話だけでなくチャットでのコミュニケーションを取りながら、データ収集、資料作成、スケジュール調整などのビジネスワークを請け負うというものだが、創業融資の申請は通らなかった。
その後、年間4000万円の実績と障害者特化型DXプラットフォーム「NEXT HERO」のビジネスモデルを持っていったところ、2018年に創業融資が下りたそうだ。
しかし、資金があっという間に減り、ショートするまで数カ月というところで、元ラクスル副社長で新規事業化の守屋実さんに相談した。
投資家やベンチャーキャピタルを紹介してもらい、出資が決まった。2021年6月にみずほキャピタルなど4社から約2億円を調達したのをはじめ、22年には海外ベンチャーキャピタルや国内メガバンク3社などから出資を受け、累計資金調達額は7億円に達した。