部下からの言葉に「イラッ」と...どう対処する?【リーダーの「コミュ力」vol.2 前編】

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選択理論で紐解く「イラッ」の正体

   本連載の1回目「指示命令するだけでは、主体性は生まれない!? 部下のモチベーションを引き出す上司の考え方」では、人の行動の原理をひも解き解明している、選択理論心理学をご紹介しました。前回はその概念の1つ、『上質世界』を解説しました。

   上質世界とは、脳内の記憶の世界で、自分が強く関心をもっているイメージ写真が入っています。今回も前回同様、あるアーティストが大好きで、上質世界に入っているAさんを例に考えてみましょう。

   たとえば、誰かがこのアーティストのことを「微妙だよね」と言っているのを、Aさんが聞いたとします。そのとき、Aさんはどのような感情を抱くでしょうか。おそらく、「イラッ」としたり、「悲しい」「悔しい」という感情を抱くのではないでしょうか。

   選択理論で紐解くと、このときのAさんの内側には、自分が理想とする状況(大好きなアーティストが応援されている)と現実(誰かがアーティストを微妙だと言っている)の2つの場面があります。この2つを比べたときに生まれるギャップが、フラストレーションを発生させているのです。

   これは、アーティストのことを「微妙だ」と言った誰かが、Aさんを怒らせたり、悲しませたりしたわけではありません。つまり、人は「外側からの刺激に反応」して感情が現れるのではなく、自分の内側にある「理想と現実のズレ」が様々な感情となって現れてくるのです。

   それでは、Aさんの例を今回のシチュエーションに当てはめてみましょう。上司側はつい、「理想とする部下=上司の言うことを素直に聞き、完璧に仕事をこなす部下」というイメージ写真をもってしまいがちです。

   そうすると、現実の「頑固で質の低い仕事をする部下の言動」に対してフラストレーションが発生します。つまり、「部下はこうであるべきだ」という自分の理想を相手に求めてしまうため、「イラッ」という感情が湧いてくるのです。

   そう思うと、「イラッ」という感情との向き合い方も、変わってくるような気がしませんか。

   この「イラッ」という感情とどう向き合い、感情に流されない自分になるのか。このことについては、<部下からの言葉に「イラッ」と...どう対処する?【リーダーの「コミュ力」vol.2 後編】>で詳しくお伝えします。(橋本拓也)


【プロフィール】
橋本 拓也(はしもと・たくや)
アチーブメント株式会社 取締役営業本部長

2006年アチーブメント株式会社に入社。新規事業として家庭教師派遣事業を立ち上げたのち、医師・弁護士・会計士などの専門職業人、経営者やセールスパーソン等の目的・目標達成の支援を行うパーソナルコンサルタントとして活躍。2017年同部門の東日本エリア担当マネジャーを経て、2021年執行役員、2022年取締役に就任した。100名以上のメンバーマネジメントに携わる傍らで、『頂点への道』講座 アチーブメントテクノロジーコース・ダイナミックコースのメイン講師を担う。これまで各種研修で担当してきた受講生の数は2万名を超える。

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