かつては「24時間働けますか」というキャッチフレーズをよく聞いたが、それも今や昔。現代のビジネスパーソンは、睡眠や体調管理についてどう考えているのだろう?
ワークポート(東京都品川区)は2023年9月7日に同社を利用するユーザー635人を対象に、「今どきのビジネスパーソンの睡眠意識について」の調査結果を発表した。
それによると、キャリアアップやスキルアップのために睡眠時間を削って働くことの是非について、「そう思う」(かなりそう思う:2.2%、ややそう思う:19.7%の合計)は21.9%に留まり、一方で「そう思わない」(まったくそう思わない:36.1%、あまりそう思わない:42.0%の合計)は78.1%に達するなど、「睡眠」を大事にしている調査結果が出た。
その理由として、回答者からは「睡眠を十分に取ることは体調管理に不可欠だと思うから」、「心身の健康が第一だと思うから」、「ワークライフバランスを保てなければ仕事にも私生活にも悪影響を及ぼし、キャリアアップもスキルアップも叶えられないと思うから」といった声が寄せられている。
睡眠時間は、仕事のパフォーマンスに影響する? 「かなりそう思う」79.1%、「ややそう思う」17.5%、計96.6%に
この調査は2023年8月28日から31日まで行われ、自社による調査で同社を利用している全国のビジネスパーソンの20代から40代の男女635人に、インターネットで実施した。
はじめに、キャリアアップやスキルアップのために睡眠時間を削って働くべきか聞くと、「まったくそう思わない」は「36.1%」、「あまりそう思わない」は「42.0%であわせては78.1%「そう思う」に達した。
一方で、「かなりそう思う」は「2.2%」、「ややそう思う」は「19.7%」で「21.9%」に留まることがわかった。
ワークポートでは「睡眠時間を削って働くことは、今どきのビジネスパーソンの大部分にとってはもう「美徳」ではなくなっていることがわかりました」とコメントしている。
その理由について、回答者からは、
●睡眠時間を削って働くべきではないとする理由
・健康が第一と考えており、睡眠時間を減らすことは健康被害につながりそうだから(30代・男性・システムエンジニア)
・キャリアアップやスキルアップよりも、心身の健康が優先されるべきだと考えているから(20代・男性・製造)
・睡眠不足だと集中力が欠け仕事の効率が下がり、ミスなども増える懸念があるため(30代・女性・企画マーケティング)
などのコメントが寄せられた。
続いて、睡眠時間が仕事のパフォーマンスに影響するかどうかを質問した。すると、結果は「かなりそう思う」が「79.1%」、「ややそう思う」は「17.5%」であわせて「96.6%」に。ほぼすべての人が睡眠不足はパフォーマンスに影響すると考えているようだ。
また、睡眠時間がパフォーマンスに影響すると答えた人に、睡眠不足での仕事上のミスがあったかを聞いてみると51.2%の過半数が「ある」と回答した。
具体的なエピソードとして、
●睡眠不足によって起こした仕事のミス
・作成した表の単位ミスや作成資料の誤字脱字など(30代・男性・建築土木)
・物や書類を忘れたり、待ち合わせ時間に遅れたりした(40代・男性・機械系エンジニア)
・必要な書類を誤ってシュレッダーで処分した(20代・男性・建築土木)
など、誤字脱字など軽微なミスから、大事な書類を処分してしまうなど大きなミスまであったという声が聞かれた。いい睡眠は、良い仕事に欠かせないことがわかる。
睡眠不足で有給休暇はアリ?ナシ? 「罪悪感を感じない」54.8%、「罪悪感を感じる」45.2%...拮抗する結果に
次の質問では、「対象者全員に病気や怪我などの明らかな体調不良ではなく、睡眠不足や疲労感を理由に有給休暇を取ることに罪悪感があるか」と聞いた。すると、「まったくそう思わない」(26.1%)、「あまりそう思わない」(28.7%)となり、あわせて「54.8%」の人は睡眠不足で休むことに抵抗はないようだ。
一方で、罪悪感があるに対して「ややそう思う」(27.6%)、「かなりそう思う」(17.6%)となりあわせて「45.2%」の人は睡眠不足で有休を使うことに抵抗があるようだ。
調査では、睡眠不足や疲労感を理由に有給休暇を取ったことはあるかも聞いた。その結果、「ある」と回答した人は「35.4%」と少数派になることがわかった。
睡眠不足があっても有休をとらなかった人の声によると、
●睡眠不足や疲労感で有給休暇を取らなかった理由
・有給休暇は本当に必要なときのためにとっておきたいから(30代・男性・管理)
・体調が悪いわけではないのに有給休暇を取ると周りから何か言われそうだから(20代・男性・医療福祉介護)
・仕事が忙しくて有給休暇を取る余裕がなかったため(40代・男性・その他)
などが上がり、仕事の忙しさや周りからの反応のため、有休を取らなかったというコメントがあった。
では、ビジネスパーソンの一般的な睡眠時間はどのくらいだろうか――。
調査では、仕事の日の睡眠時間と休みの日の睡眠時間を質問し、平均値を出した。平日の日の睡眠時間は6.2時間、休日は7.5時間という結果になった。
さらに、その睡眠時間は理想的かを質問すると、仕事の日の睡眠時間については「かなり理想的」が「13.9%」、「やや理想的」「32.4%」があわせて46.3%と過半数を割っている。
一方で休日の睡眠時間に対しては、「かなり理想的」が「35.7%」、「やや理想的」が「40.3%」であわせて「76.0%」となり、仕事の日に比べて満足度が高いという。
こうした調査結果に対してワークポートでは、次のようにコメントを寄せている。
「睡眠時間を削って働く姿が美徳とされた時代からビジネスパーソンの価値観は大きく変容し、現代では体調管理や仕事のパフォーマンスを上げるために睡眠を重視すべきという意識が広く根付いていることが明らかになりました」
「睡眠問題を有給休暇取得と結びつけるにはまだハードルが残っているという側面もあるものの、実際に睡眠不足で働いた結果ミスにつながったケースも半数以上と少なくないことから、働き方を考えるうえで睡眠が重要視される傾向はこの先ますます高まっていくことが予想されます」