他と差をつけるには「情緒的価値」
ファンづくりの極意、その3として「関係性」の構築を挙げている。ここで、「自分にとって都合のいい人とだけ付き合う」と書いている。どういうことなのか。
自分にとって都合のいい人は、相手にとってはあなたが都合のいい存在になる可能性もあるので、お互いにとって良い関係になる、と説明する。
関係性を構築していくうえで大切なのは、相手のことだけを見て、相手のことだけを考える時間、つまり「マンツーマン」の時間がなければ、関係性は深められないという。
小林さんは、フランス車を中心とした在庫車を並べて、全ての在庫車に2年間保証と「次回乗り換え時に、購入時の車両価格の半額を保証する」という「下取り優遇保証」をつけ業績を伸ばした。
売上は増えたが、ミスも増え、従業員のやる気は減った。そこで、30台近くあった在庫を5台にまで減らし、顧客や業者との関係性を再構築する方針へ転換した。
その頃、同様の保証をつけた輸入車販売店も出てきたが、関係性を構築していたおかげで競争に勝ち抜いたという。「他との圧倒的な差を築くのは、機能的価値ではなく、情緒的価値しかない」と断言する。
転職を繰り返し、イケてない会社員だった小林さんは、在庫のない中古車販売店で働くことで、まずは人と出会って話を聞いてもらう機会づくりをし、他者のために役立つことが喜びとなったそうだ。
関係性の構築には「信用」を得ることが基本になる。人として当たり前のことを当たり前のように行うことが、まずは大事であることを説いている。(渡辺淳悦)
「あなたの仕事・人生を好転させる『ファン』のつくり方」
小林大地著
あさ出版
1650円(税込)