「植田サプライズ」なかったが...日本銀行、金融緩和維持! それでもエコノミストに賛否両論「政策修正は前倒しに」「いや、逆に2025年まで遅れる」

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政策修正は、早くても来年後半以降に遠のいた

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異次元金融緩和はいつ修正される?(写真はイメージ)

   しかし、逆に政策修正は早くても来年(2024年)後半以降に遠のいたと指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「政策維持を決めた金融政策決定会合:日銀利上げシナリオの再検証」(9月22日付)のなかで、その理由をこう述べる。

「対外公表文では、将来の利上げの地均しを意図して『必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる』という緩和バイアスのフォワードガイダンスを撤廃、あるいは修正するとの観測もあった。しかし実際にはこの文言は維持され、近い将来に本格的な政策修正が行われる可能性が低いことを示した。
他方、足元の高い物価上昇率は、『既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響』との判断を維持している。高い物価上昇率は、賃金上昇を伴う国内要因主導での持続的な物価上昇率の高まりとは異なるメカニズムによる、との見方が維持され、2%物価目標達成はなお見通せない、との日本銀行の従来の見方に沿った判断が示された」

   つまり、金融市場では読売新聞のインタビュー記事を受けて、早期の利上げ観測が燻(くす)ぶっているが、真っ向から否定した形だというわけだ。

   実際、植田和男総裁の記者会見でも、日本銀行が物価と賃金の上昇に注目していることが明らかになった。木内氏は、こう指摘する。

「高い物価上昇率が持続的なものとなり、2%の物価安定目標の達成が見通せるようになるかどうかという観点から、日本銀行が最も注目しているのは明らかに来年の春闘である。
この点から、その前の来年1月の決定会合で利上げを実施する可能性はかなり低い。本格的な政策変更は、最短でも春闘後の来年4月の決定会合と考えられる。ただし筆者(=木内氏)の見通しは、来年後半以降である」

   来年の春闘では、物価上昇率が今年より大幅に下がるため、プラス1%台まで下落して、期待された水準に達しない可能性が高いと、木内氏はみる。そこで、日本銀行は次のようなシナリオを描くという。

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来年の春闘の賃上げ水準がカギになる(写真はイメージ)
「来年の春闘賃上げ率が期待された水準ほどに達しないことを受けて、日本銀行は2%の物価目標は短期的には達成できない、と宣言するである。
そのうえで、金融緩和は長期化するとし、長期戦に備えて金融緩和の枠組みを見直す方針を示す。
多角的レビューの結果を踏まえ、マイナス金利政策の副作用について金融市場に十分に説明したうえで、マイナス金利政策解除を実施するのは、最短で来年後半になるのではないか」

   そして、木内氏はこう結んでいる。

「さらに、内外景気情勢の悪化や米国での金融緩和が日本銀行の政策修正を後ずれさせる可能性が考えられる。それらの動向次第では、マイナス金利政策解除の時期は2025年まで後ずれする可能性もあるだろう」

(福田和郎)

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