円安に歯止めをかけるため、修正が前倒しになる可能性も
ヤフーニュースコメント欄では、第一生命経済研究所主席エコノミストの藤代宏一氏が、
「今回、政策変更を予想する市場関係者はほとんどいませんでしたが、私を含む一部の市場関係者は将来の政策指針、いわゆるフォワードガイダンスを修正することで、金融政策の修正に向けた準備運動を開始する可能性を意識していました。具体的には、以下の括弧部分の修正あるいは削除です。『引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる』」
と説明。その理由については、
「円安が加速し、物価も2%を明確に上回る状況で『追加緩和』を示唆する文言は、現状に馴染んでいるとは言い難いものがあります。しかしながら、日銀は今回も上記文言をそのまま残しました。そうした強固な緩和姿勢に反応する形で、金融政策決定会合の直後は円安・株高に振れました」
と、日本銀行の頑なな緩和政策維持が円安を加速させていると指摘した。
実際、植田総裁の会見中、ドル円相場は一時、1ドル=148円台半ばまで進んだ。
同欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の小林真一郎氏が、予想通りの結果について、
「前回7月の金融政策決定会合で長期金利の許容上限を1%まで引き上げるとの修正が実施されましたが、その上限金利まで余裕があり、追加修正の必要に迫られていないためと考えられます」
と説明。
「もっとも、米国の長期金利上昇を受けて10年国債利回りは0.74%台と約10年ぶりの高水準にあり、今後の米国の金融政策の次第では、一段の上昇圧力を受ける可能性があります。また、物価上昇率も日本銀行の予想に反して高止まった状態が続いている一方、賃金上昇率が徐々に高まるなど、金融政策の正常化に向けた条件が整いつつあります。
さらに、最近の円安に歯止めをかけるためにも、金融引き締めは有効な手段となります。基本的には来年の春闘での賃上げ継続などを確認した後でイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃など次の修正が実施されると思われますが、タイミングが前倒しになる可能性があります」
と、今回は政策修正を見送ったが、早まる可能性に言及した。