緩やかな「インフレ鈍化」と「経済成長」が併存する、「適温経済」続く?
このことは米国経済にとってプラスなのか、マイナスなのか。プラスと考えられると指摘するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。
石黒氏はリポート「FOMCは高金利政策の長期化を示唆する内容」(9月21日付)のなかで、米国のコア物価指数の見通しなどを示したグラフ(【図表2】)を紹介しながらこう説明する。
「今回のFOMCの内容は、従来よりも高金利政策の長期化を示唆するタカ派的な内容だったこともあり、9月20日の米金融市場では、米国債利回りが上昇(価格は下落)し、ハイテク株の下げが目立ちました。
ただ、今回のFOMCで今後の米経済について明るい兆しが示されたことは支援材料です。FRBが示した最新の経済見通しでは、10~12月期の実質GDP(国内総生産)成長率について2023年が2.1%、2024年が1.5%と前回見通し(1.0%、1.1%)から上方修正されました。また、10~12月期の米PCE(個人消費支出)コア物価指数も鈍化基調を辿り、2026年には2%の物価目標を達成する見通しです【図表2】」
こうしたことから、石黒氏はこう結んでいる。
「緩やかな『インフレ鈍化』と『経済成長』が併存する『適温経済』が続くとみられることは、米金融市場の先行きを見るうえでサポート材料といえそうです」