企画のねらいは? 科学コミュニケーターの中尾さんに聞いてみた
今回の取材で案内してくれた科学コミュニケーターの中尾晃太郎さんに企画のねらいや学びのきっかけにしてほしいことを聞いた。
――今回の展示、面白かったです。どうしてこのような企画を考えたのでしょうか。
中尾晃太郎さん 言葉のプロたち3人の技術をChatGPTに再現させることがそもそものコンセプトです。
ディープラーニングやAIの学習方法は、中身がどのようになっているか人間には理解できないブラックボックスとなっています。
大場さんの取り組みでは、子どもに向けたやさしい言葉を生成できるのか、小沢さんの取り組みではユニークな言葉を生成できるのか、それを検証するものになります。
特に、御3人の取り組みでは、学習だけでは得られないセンスやタレントが必要になります。
3人のプロに生成AIと対話してもらうことで、プロの暗黙知を言語化してもらったり、それぞれのプロの経験と技術を披露してもらったりすることで、私たち人間が学習することをねらっています。
――中尾さんは、生成AIについてどう思いますか?
中尾さん 私はAIに対してポジティブな印象を持っています。一方でたとえば、創作におけるChatGPTの利用は指示文を細かく指定し、どれくらい作者が工夫し尽くすかが、いい物をつくる条件なのですが、アメリカではAI生成物に著作権は認められていません。国によって生成AIに向けたネガティブなスタンスとポジティブなスタンスが違うため、できることなら、みなさんが実際にAI使ってみて、自分がどう思うか、どう判断するかという考えるきっかけにこの企画展がなったらうれしいですね。
――ありがとうございます。最後に、来場者のみなさんを案内しての印象は?
中尾さん 主語が大きくなってしまうのですが、ざっくりと海外の方と日本の方でAIへの向き合い方が違うことを感じています。日本人の方はさまざまな現象や技術が制御できなくても受け入れる姿勢ですが、海外の方は人間が制御できないものは危険なものだという認識を持たれるようです。しかし、どの方にも3人のプロがAIと向き合っている姿や考え方に驚きを得ているようで、来場者のみなさんの学びになっているようです。
――ありがとうございました。
今回の企画展は、2023年11月13日まで。興味を持った人は足を運んでみてはいかがでしょうか。