リーダーが率先して行動を変えよう
このほかに、「仕事の範囲外でもアンテナを立てておく」「他者や異業種からのインプットをする」「社内外の面白い人に近づいてみる」ことを勧めている。多様なメンバーが、面白さを出し合えるチームになることにより、新しいアイデアが生まれるからだ。
「あんぜんチーム」づくりのためには、リーダーが率先して行動を変えていくことが必要だ、と管理職に注意を促している。メンバーは、リーダーの言葉ではなく行動を見ているからだ。できることからはじめて、「小さな1歩」をたくさん積み上げていくアプローチが効果的だという。
具体的には、「腕や足を組まない」「会議のときは丸く座る」「相手の話を3分聞き続けてみる」「ひと呼吸置いてから話しはじめる」「苦手な仕事はそれが得意なメンバーに任せる」などを挙げている。
また、仕事のゴールを共有するとともに、プロセスを確認することも重要だ。一番やってはダメなことは決定事項だけを話すことだ。主語を「会社」や「組織」ではなく「自分」にすることも提案している。
最後に、「みんなでつくる心理的安全性」について説明している。「車座になってワークをする」「プロジェクト終了後に発表会をする」「定期的な勉強会や読書会をする」などを挙げている。
実際に、サイボウズでは勉強会や読書会が業務時間中や業務時間外に開かれているという。また、スコラ・コンサルトでは経営会議をオープンに行い、話を聴きたい人はいつでも参加できるそうだ。「こんな職場で働いてみたい」と思うような実践に満ちている。
最後に、心理的安全性が高い組織をつくることは簡単ではなく、一朝一夕ではできるものではない、と釘を刺している。しかしながら、コツコツと実践して生まれる行動習慣は、どんな場所でも発揮される大事なソフトスキルになるそうだ。ひとりでもできることからやってみたらどうだろう。(渡辺淳悦)
「わたしからはじまる心理的安全性」
塩見康史、なかむらアサミ著
翔泳社
1840円(税込)