指示命令するだけでは、主体性は生まれない!? 部下のモチベーションを引き出す上司の考え方【リーダーの「コミュ力」vol.1 前編】

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   みなさん、こんにちは。

   人材教育コンサルティング事業を手がけるアチーブメント株式会社の取締役営業本部長、橋本拓也です。

   これから、部下が育つ上司のコミュニケーション力というテーマで、お役立てできる情報を発信していけたらと思います。

部下に指示命令して仕事をさせようとしていませんか?

   さっそくですが、みなさんは、マネジメントするために部下とどう接していますか。

   「目標に向かって頑張ろうぜ!」と熱く語りかけていますか。「次はあれ。次はこれ」と時間をムダにしないように指示命令をしていますか。それとも、「この仕事には、どんな意味があると思う?」と部下のやる気を引き出そうとしているでしょうか。

   実は私もリーダーになりたての頃は、部下のマネジメントに苦労していました。自分だったら1日で終わるような仕事に3日もかける部下に「なぜもっと早くできないんだ」と文句を言いたくなることもありました。

   上司として、部下をちゃんとマネジメントしたい。でも、その方法がわからなくて苦労している。そんな方も多いのではないでしょうか。

   今回は、そんな部下のマネジメントに苦労している上司の方に向けて、部下のモチベーションを引き出す「考え方」を解説したいと思います。

人の行動の原理を心理学でひも解くと...

   まずモチベーションとは何か考えてみましょう。

   一般的な意味を調べると「人が何かしらの目標に向けて動くための『原動力』となるもの」とあります。つまり、「人が行動を起こすための動機」ともいえます。ということは、人のモチベーションを引き出すには、人の行動の原理を知る必要があります。

   人の行動の原理をひも解き解明している心理学があります。それが「選択理論心理学」と呼ばれているものです。このなかに、部下のモチベーションを引き出すヒントがあるのです。

   選択理論心理学はアメリカの精神科医、ウイリアム・グラッサー博士によって提唱され、良好な人間関係を築く手法として高い評価を得ています。

   選択理論心理学では、人間は「生存の欲求」「愛・所属の欲求」「力の欲求」「自由の欲求」「楽しみの欲求」の5つの基本的欲求を持っているとしています。

   わかりやすい例を挙げると、「お腹が空いた」は「生存の欲求」、「人から認められたい」は「力の欲求」に分類されます。5つの基本的欲求は、程度の差こそあれ、誰もが持っているとされています。

   さらに、5つの基本的欲求の1つ以上を強く満たす願望の世界があるとしています。これを「上質世界」と呼んでいます。

   上質世界は脳内の記憶の世界で、自分が強く関心を持っているイメージ写真が入っています。たとえば、「家族」や「好きなアーティスト」など形のあるものから、「安定した生活」や「人の役に立ちたい」など無形のものもあります。選択理論心理学では、人はこの願望(イメージ写真)を手に入れようと行動している、と説明しています。

   たとえば、あるアーティストが上質世界に入っているAさんがいたとします。そのアーティストがライブを開くとしたら、Aさんはライブに行くためにチケットを『申し込む』でしょうし、ライブに行くためのお金を『貯める』でしょう。

   このように、人が行動を選択する動機は内側にあります。つまり、人は内側からの願望にしか動かされない(動機付けされない)のです。

「外的コントロール」によるアプローチはよくない

   なかには、「部下に指示命令して動かすことはできるじゃないか」と思われる方がいるかもしれません。

   たしかに、指示命令をすることで、部下を仕事に向かわせることはできます。しかし、それは「怒られるのが怖い」「ガミガミ言われるのが嫌だ」という不快な感情から逃れるために行動を選択しているのです。その結果何が起こるかというと、人間関係に亀裂が生じます。

   このように、相手をコントロールしようとするアプローチを「外的コントロール」と呼びます。外的コントロールで部下をマネジメントすることは、短期的には効果が出るかもしれません。しかし、長期的に見ると部下が気持ちよく働くことにはつながらず、人間関係を犠牲にすることになるのです。

   重要なことは、この基本的欲求と願望は他人によって変えられないものだということです。さきほど解説した通り、人は願望に向かって行動を選択します。内側の願望に仕事が入っていないのに、部下を無理やり変えるのは難しいのではないでしょうか。

   では、上司としてできることはなんでしょうか。つづきは、<指示命令するだけでは、主体性は生まれない!? 部下のモチベーションを引き出す上司の考え方【リーダーの「コミュ力」vol.1 後編】>で説明したいと思います。(橋本拓也)


【プロフィール】
橋本 拓也(はしもと・たくや)
アチーブメント株式会社 取締役営業本部長

2006年アチーブメント株式会社に入社。新規事業として家庭教師派遣事業を立ち上げたのち、医師・弁護士・会計士などの専門職業人、経営者やセールスパーソン等の目的・目標達成の支援を行うパーソナルコンサルタントとして活躍。2017年同部門の東日本エリア担当マネジャーを経て、2021年執行役員、2022年取締役に就任した。100名以上のメンバーマネジメントに携わる傍らで、『頂点への道』講座 アチーブメントテクノロジーコース・ダイナミックコースのメイン講師を担う。これまで各種研修で担当してきた受講生の数は2万名を超える。

姉妹サイト