「外的コントロール」によるアプローチはよくない
なかには、「部下に指示命令して動かすことはできるじゃないか」と思われる方がいるかもしれません。
たしかに、指示命令をすることで、部下を仕事に向かわせることはできます。しかし、それは「怒られるのが怖い」「ガミガミ言われるのが嫌だ」という不快な感情から逃れるために行動を選択しているのです。その結果何が起こるかというと、人間関係に亀裂が生じます。
このように、相手をコントロールしようとするアプローチを「外的コントロール」と呼びます。外的コントロールで部下をマネジメントすることは、短期的には効果が出るかもしれません。しかし、長期的に見ると部下が気持ちよく働くことにはつながらず、人間関係を犠牲にすることになるのです。
重要なことは、この基本的欲求と願望は他人によって変えられないものだということです。さきほど解説した通り、人は願望に向かって行動を選択します。内側の願望に仕事が入っていないのに、部下を無理やり変えるのは難しいのではないでしょうか。
では、上司としてできることはなんでしょうか。つづきは、<指示命令するだけでは、主体性は生まれない!? 部下のモチベーションを引き出す上司の考え方【リーダーの「コミュ力」vol.1 後編】>で説明したいと思います。(橋本拓也)
【プロフィール】
橋本 拓也(はしもと・たくや)
アチーブメント株式会社 取締役営業本部長
2006年アチーブメント株式会社に入社。新規事業として家庭教師派遣事業を立ち上げたのち、医師・弁護士・会計士などの専門職業人、経営者やセールスパーソン等の目的・目標達成の支援を行うパーソナルコンサルタントとして活躍。2017年同部門の東日本エリア担当マネジャーを経て、2021年執行役員、2022年取締役に就任した。100名以上のメンバーマネジメントに携わる傍らで、『頂点への道』講座 アチーブメントテクノロジーコース・ダイナミックコースのメイン講師を担う。これまで各種研修で担当してきた受講生の数は2万名を超える。