指示命令するだけでは、主体性は生まれない!? 部下のモチベーションを引き出す上司の考え方【リーダーの「コミュ力」vol.1 前編】

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人の行動の原理を心理学でひも解くと...

   まずモチベーションとは何か考えてみましょう。

   一般的な意味を調べると「人が何かしらの目標に向けて動くための『原動力』となるもの」とあります。つまり、「人が行動を起こすための動機」ともいえます。ということは、人のモチベーションを引き出すには、人の行動の原理を知る必要があります。

   人の行動の原理をひも解き解明している心理学があります。それが「選択理論心理学」と呼ばれているものです。このなかに、部下のモチベーションを引き出すヒントがあるのです。

   選択理論心理学はアメリカの精神科医、ウイリアム・グラッサー博士によって提唱され、良好な人間関係を築く手法として高い評価を得ています。

   選択理論心理学では、人間は「生存の欲求」「愛・所属の欲求」「力の欲求」「自由の欲求」「楽しみの欲求」の5つの基本的欲求を持っているとしています。

   わかりやすい例を挙げると、「お腹が空いた」は「生存の欲求」、「人から認められたい」は「力の欲求」に分類されます。5つの基本的欲求は、程度の差こそあれ、誰もが持っているとされています。

   さらに、5つの基本的欲求の1つ以上を強く満たす願望の世界があるとしています。これを「上質世界」と呼んでいます。

   上質世界は脳内の記憶の世界で、自分が強く関心を持っているイメージ写真が入っています。たとえば、「家族」や「好きなアーティスト」など形のあるものから、「安定した生活」や「人の役に立ちたい」など無形のものもあります。選択理論心理学では、人はこの願望(イメージ写真)を手に入れようと行動している、と説明しています。

   たとえば、あるアーティストが上質世界に入っているAさんがいたとします。そのアーティストがライブを開くとしたら、Aさんはライブに行くためにチケットを『申し込む』でしょうし、ライブに行くためのお金を『貯める』でしょう。

   このように、人が行動を選択する動機は内側にあります。つまり、人は内側からの願望にしか動かされない(動機付けされない)のです。

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