気鋭のクリーンテック企業の創業者が、起業するまで 「日本にいてはダメ」海外で学び、商社で鍛え...そして、セーリングで気づいた「自然との共生」への思い【後編】/Nature株式会社 創業者・塩出晴海さん

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エンジニアとしての勉強だけではなく、ビジネスについてきちんと学びたい!

   大学院修了を繰り上げてのセーリングは、この世のものとは思えない感動に満ち溢れていたと語る塩出さん。セーリングを終えた塩出さんが就職したのは三井物産だった。同社について、塩出さんは起業をするうえでこのうえない糧になったと明かす。

――三井物産を志望したきっかけは何だったんでしょうか。

塩出さん 大学と大学院では、プログラミングの勉強を自らが納得いくまで極めることと、英語がきちんとつかえるようになることでした。これらのテーマはスウェーデン王立工科大学の大学院の留学である程度は達成できたと感じたので、次はビジネスの知見を深めるべきだと考え、三井物産を志望しました。

――塩出さんの経歴を見ると、たとえば大学院卒業後にすぐ起業してもよかったのではないかという気もしますが、やはりエンジニアとしての勉強だけではなく、ビジネスについてきちんと学びたいという思いが強かったということですね。入社後はどんな仕事をされたのでしょうか。

塩出さん 入社直後はユビキタスコンピューティング――ようするにIoTなどのビジネスに携わりたい私の思いとも合致した事業部に配属されました。ただ、残念ながら、時代がはやすぎたのでしょうか、入ってすぐその事業部が廃部になってしまいました。私も異動ということになりました。

――それで、異動先は?

塩出さん 辞めるという選択肢も一瞬考えました。しかし、せっかく三井物産に入った以上、学べることがあるのではないかと考え、「(脱炭素に貢献する)クリーンテックが扱えて、かつ、ビジネスパーソンとして成長したい」という希望を伝えました。クリーンテックに着目したのは、さきほどお話ししたヨットでの体験から、「自然」をテーマにしたい、という考えからでした。
さて、異動ですが、電力に携わる部門に配属されました。クリーンテックとは逆方向の、化石燃料を扱う部門だったのです。

――思ってもみない異動だったのではないでしょうか。

塩出さん 化石燃料を扱う部門に配属された際に思ったのは、「希望とは違うかもしれないけれど、これに導かれてみよう」と。この部門は三井物産の中でも「人材道場」と呼ばれており、「他の部門の人が教えを請いに来る評判の部門」。異動後、とにかく「教えを叩きこまれること」に喜びを感じていました(笑)。

――なるほど! そして、そこで受けた教えを元に起業していったわけですね。

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