イマドキ20代の転職のホンネは? 求人サイトを見る時間、土日祝日よりも平日のほうが多い傾向

   最近の20代社員は転職についてどういうふうに考えているのか?

   学情(東京都千代田区)は2023年9月5日に20代・若手人材の「転職観」を紐解くべく、転職希望者561人を対象に調査した「転職意識調査レポート2023」を発表した。質問項目には、転職の捉え方や転職理由、転職の方向性(転職で実現したいキャリア)、応募前の情報収集など、多様な質問で20代の転職観に迫っている。

   なかでも、経験3年以上の「ヤングキャリア」では転職理由は「給与・年収をアップさせたい」が最多で54.2%、「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」は33.0%だった。一方で、経験3年未満の「第二新卒」の転職理由では「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」が36.2%で最多となり、次いで「給与・年収をアップさせたい」が35.8%という位置につけている。

   このほか、キャリアアップやキャリアチェンジで実現したい20代社員の今後については、「給与・年収を上げたい」、「より高いポジションに就きたい」、「興味を持っていた仕事に挑戦したい」、「残業時間や休日の取りやすさなど、労働条件を改善したい」などが上位を占め、異業種や同業種への転職意欲が高いことがわかった。

  • 転職には職務経歴書の作成が欠かせない(写真はイメージです)
    転職には職務経歴書の作成が欠かせない(写真はイメージです)
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経験年数3年以上のヤングキャリアの希望年収...300万円以上500万円未満が過半数超え

(学情の作成)
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   今回の調査は多岐にわたる。詳しく見ていこう。はじめに、回答者の就業年数のグラフによると、多い順に「4~6年」が25.5%、「1年未満」が「23.4%」、「1年」が「16.3%」という結果になった。つぎに、経験社数では、「1社」が「65.5%」と半数を占めた。また就業状況を確認すると「在職中」は「62.0%」、「離職中」は「38.0%」という結果が得られた。

(学情の作成)
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   回答者の希望年収を聞くと、在籍3年以上の「ヤングキャリア」で「301万円~400万円」が「44.8%」、「401万円~500万円」が「25.9%」となり、ボリュームゾーンになっている。職歴3年未満の「第二新卒」では「201万円~300万円」が「24.8%」、「301万円~400万円」が「50.0%」となっており、多数を占めている。

   かたや、実際の年収を聞くと、ヤングキャリアは「~100万円」が「14.2%」、「101万円から200万円」が「7.1%」、「201万円~300万円」は「28.3%」となり、年収300万円以下が「49.6%」となりおよそ半数を占めた。

   また、第二新卒では、「~100万円」が「23.6%」、「101万円~200万円」が「14.2%」、「201万円~300万円」が「36.2%」となり、年収300万円以下の回答者は「74.0%」となり、3人に2人は年収300万円以下だという。

20代社員の転職の悩み 「アピールできるスキルや経験がない」61.1%、「自分の市場価値が分からない」52.3%

   また、回答者の「転職」への捉え方について、「社会人になる前から、転職を視野に入れていましたか」(n=466)では、転職を視野に入れていた人は「61.8%」となり、過半数を超えている。

   続いて、「実際に転職活動をするにあたって、転職すべきか迷うことはありましたか?」と聞くと、「はい」は「65.7%」となった。7割弱の20代が実際に転職するか、現職に残るかを迷う経験をしていることがわかった。

(学情の作成)
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   引き続き、転職すべきか迷った理由を聞くと、「転職をするにもアピールできるスキルや経験がないと思ったから」(61.1%)、「自分の市場価値が分からなかったから」(52.3%)、「早期離職は社会的イメージが悪いと思ったから」(48.7%)が上位となった。

   学情では「転職すべきか迷う20代は、新卒で入社した企業で一定期間働くことが必要だと考えていることがうかがえます」と指摘している。

(学情の作成)
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   また、迷わずに転職した人に理由を聞くと、「無理して合わない会社で就業し続ける必要がないと思ったから」が「71.9%」でほかの回答より突出した。次いで、「未経験への仕事への挑戦は早いほうがいいと思ったから」が「43.1%」、「年齢を問わず転職が当たり前になっているから」が「27.5%」となった。

   就職活動と転職活動への意識の違いについての質問として、「新卒での就職活動と比べて、重視するようになったことや、会社を選ぶ視点に変化はありましたか?」を聞くと、変化があったとした人が「80.8%」となり、多数を占めた。

(学情の作成)
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   転職先の企業でどのくらいの期間働く希望があるかを聞くと、過半数を超える「63.7%」が「不満が特にない限り、できるだけ長く働きたい」と答えた。一方で、「~1年ほど」(2.4%)、「2~3年ほど」が「9.0%」、「4~5年ほど」が「10.7%」となり、「5年以下で辞めたい人」は「22.1%」と5分の1程度になった。

(学情の作成)
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   さらに、転職先で重視することは何か。これについて聞くと、「仕事内容」がヤングキャリアで「49.5%」、第二新卒で「54.6%」だった。「自分自身のキャリアビジョン」はヤングキャリアで「48.4%」、第二新卒で「44.9%」となった。「休日の取りやすさ」も上位に上がっておりヤングキャリアで「40.2%」、第二新卒で「40.6%」を占めた。

   回答者の割合のギャップに注目すると、「年収や昇給・昇格ペース」がヤングキャリアで「37.0%」、第二新卒で「21.3%」となり、ギャップが大きかった。一方で、「企業文化・社風」では第二新卒が「22.2%」、ヤングキャリアが「8.2%」となり、今度は第二新卒が上回った。

20代社員の転職理由...入社3年以上で「給与・年収のアップ」54.2%、3年未満で「仕事にやりがいと達成感」36.2%

(学情の作成)
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   では、転職理由はどうか。調査によると、ヤングキャリアでは「給与・年収をアップさせたい」が「54.2%」、「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」が「33.0%」、「残業を減らしたい、休日を減らしたい」が「29.7%」となった。

   第二新卒では最多になったのが「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」が「36.2%」、次いで「給与・年収をアップさせたい」が「35.8%」、「残業を減らしたい、休日を確保したい」が「26.8%」となった。

   上位に入った項目は大きく変わらないが、「給与・年収をアップさせたい」はヤングキャリアで「54.2%」、第二新卒で「35.8%」となり、これまでの日本企業でベースアップや昇給のスピードが遅かったことが原因にあるのかもしれない。

   転職を希望する20代の声には、「新しいことも視野に入れて自分がもっと活躍できる場を見つけたい」や「自分の市場価値を高めてどこでも通用できるスキルがほしい」など、自分のキャリア形成を見据えた転職のほか、「ワークライフバランスの取れた生活を送りたい」や「給与を上げ、プライベートも充実させたい」などのように仕事と生活やプライベートの充実を図りたいという意見が寄せられている。

キャリアアップと、キャリアチェンジのどちらに関心があるか?

(学情の作成)
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   では、20代のキャリアの軸にはどんな考えがあるのだろうか?

   転職の方向性、転職で実現したいキャリアについても質問した。経験・スキルを活かしてより高いポジションにつく「キャリアアップ」と、新しい業種、職種の仕事に就く「キャリアチェンジ」のどちらの方の関心が高いか調べた。その結果、ヤングキャリアでは「キャリアアップ」が「17.0%」、「どちらかといえばキャリアアップ」が「15.1%」であわせて「32.1%」になった。

   また、「キャリアチェンジ」は「27.4%」、「どちらかといえばキャリアチェンジ」が「15.1%」で「42.5%」となり、キャリアチェンジの関心が高かった。

   同様に、第二新卒でも「キャリアチェンジ」(38.6%)、「どちらかといえばキャリアチェンジ」(22.0%)であわせて「60.6%」となり、異業種・異職種への転職に関心が高いようだ。

(学情の作成)
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   キャリアアップやキャリアチェンジで実現したいことを聞くと、キャリアアップでは「給与・年収を上げたい」(職歴3年以上:64.7%/職歴3年未満:45.5%)、「より高いポジションに就きたい」(職歴3年以上:36.8%/職歴3年未満:54.5%)、「興味のある業界・商品に携わりたい」(職歴3年以上:29.4%/職歴3年未満:15.2%)だった。

   キャリアチェンジでは、「給与・年収を上げたい」(職歴3年以上:61.7%/職歴3年未満:41.6%)、「興味を持っていた仕事に挑戦したい」(職歴3年以上:58.3%/職歴3年未満:57.1%)、「残業時間や休日の取りやすさなど、労働条件を改善したい」(職歴3年以上:53.0%/職歴3年未満:57.1%)という結果になった。

   第二新卒はキャリアアップで「より高いポジションにつきたい」が「54.5%」と突出して高い点からすると、入社3年未満の社員の方は向上心が高いのかもしれない。

求人情報のチェックポイント...「職種・仕事内容」「休日・休暇」「給与」 活用したいのは動画が45.5%

(学情の作成)
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   続いて、求人情報で重視するポイントによると、求人でチェックするのは「職種・仕事内容」(職歴3年以上:58.5%/職歴3年未満:61.8%/職歴なし:60.8%)、「休日・休暇」(職歴3年以上:51.4%/職歴3年未満:52.4%/職歴なし:45.6%)、「給与」(職歴3年以上:51.4%/職歴3年未満:37.4%/職歴なし:15.2%)、「勤務地・転勤の有無」(職歴3年以上:32.5%/職歴3年未満:34.6%/職歴なし:39.2%)、「応募資格(求める人材)」(職歴3年以上:31.6%/職歴3年未満:34.6%/職歴なし:54.4%)という結果になった。

   既卒職歴なしの人にとっては「職種・仕事内容」も重視するが、「応募資格(求める人材)」の重要性も、ほかの職歴のある人よりも突出して高くなっている。

(学情の作成)
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   引き続き、求人情報に関する質問で、「求人情報を見る際、より詳しく知ることができたらうれしいと思う情報は何ですか?」と聞いた。その結果は、「会社や部署の雰囲気、部署メンバーの人柄」(職歴3年以上:43.4%/職歴3年未満:44.5%/職歴なし:31.6%)、「具体的な仕事内容」(職歴3年以上:42.9%/職歴3年未満:52.4%/職歴なし:44.3%)、「1日の業務スケジュール例」(職歴3年以上:33.5%/職歴3年未満:33.9%/職歴なし:27.8%)となった。

   職歴3年未満の第二新卒では「具体的な仕事内容」が「52.4%」とほかより突出して高くなり、自分が会社でどんな仕事をするのか、というポイントを重視しているようだ。

(学情の作成)
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   つぎに、応募前の情報収集の項目では、会社の雰囲気を知るために活用したいコンテンツを質問。最多は「動画」で「45.5%」、「写真・画像」は「32.6%」で二番手に、「テキスト情報」は「21.2%」となった。

(学情の作成)
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   また、転職活動を行う時間帯についても質問している。

   調査によると、ヤングキャリアでは、仕事が終わった後の平日の19時から22時が「40.1%」で最多になった。また、第二新卒でも終業後の平日19時から22時が「41.7%」で最多だった。

   一方で、既卒職歴なしで最多になったのは平日の12時から17時で「45.6%」に達している。傾向としては、平日のほうが、土日祝よりも求人サイトを閲覧する割合が高いようだ。

   なお、この調査は2023年7月3日から16日までの間、「Re就活」来訪者の20歳から29歳までの転職希望者561人(男性42.6%/女性55.4%)を対象に、ウェブアンケート形式でおこなった。

   回答者の属性として、正社員としての就業経験があるのは「74.7%」、契約社員としての就業経験ありが「8.2%」、派遣社員として就業経験ありは「7.1%」、就業経験なしは「14.1%」、在学中は「3.6%」となった。

   就業中の職種は多い方から順に、「企画・事務・管理系」(23.5%)、「販売(ファッション、フード、小売り)」(18.7%)、「営業系」(15.6%)、「専門サービス(医療、福祉、教育、その他)」(15.2%)となっている。

   就業中の業種は多い方から順に、「その他業種」(20.4%)、「サービス」(18.3%)、「IT・通信・インターネット」(11.8%)、「流通・小売」(10.0%)、「不動産・建設・設備」(7.3%)だった。

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