入社3年目までの若い社員の離職に頭を悩ます人事担当者も多いのでは。
総合人事・人材サービスを手掛けるアデコ(東京都千代田区)は2023年9月13日に、新卒4年目を迎えた若手社員600人を対象に、「新卒入社後3年以内に離職しなかった理由などを尋ねる調査」の結果を発表した。
調査によると、入社してからの間に転職・退職を考えたことのある若手社員は81.8%(真剣に考えたことがある:34.7%、なんとなく考えたことがある:47.2%)に達し、理由には「年収が少ない」(47.5%)、「スキルアップが望めない」(23.8%)、「労働時間が長い」(22.0%)などがあることがわかった。
一方で、3年目以降も勤務先に残ることを選んだ理由を聞くと、「有休が取りやすいから」(28.1%)、「次の仕事が見つからなさそうだから」(25.7%)、「同期や同僚との関係がいいから」(23.8%)などが上がり、社内における上司との関係、同僚・同期との関係性が重要なことがわかった。
4年目社員が辞めない理由...「有休が取りやすい」28.1%、「次の仕事が見つからなさそう」25.7%、「同期や同僚との関係がいい」23.8%
インターンシップをめぐっては、2023年から採用直結型のインターンシップが解禁され、企業による大学新卒の採用活動が大きく変わる見込みだ。その一方で、日本では、新卒で入社した社員の3割前後が3年以内に退職する、いわゆる「3年・3割」の状況が長く続いている状況がある。
そこで今回は、新卒入社後4年目を迎えた若手社員に注目し、なぜ3年以内に退職せず、勤務先に残ることを選んだのかなどを聞いた。
はじめに、新卒入社4年目の若手社員に対して、「現在の勤務先への入社を決めた理由」を質問した。すると結果は、「興味のある業界だった」が「36.5%」、「福利厚生や手当が充実している」が「29.7%」、「会社・業界が安定している」は「29.0%」となった。
つづいて、同じ若手社員に「これまでに転職や退職を考えたことはありますか」と聞くと、「真剣に考えたことがある」は「34.7%」、「なんとなく考えたことがある」は「47.2%」となり、あわせて「81.8%」が転職・退職を考えたことがあると回答した。
引き続き、「転職や退職を考えたことはある」という回答者(n=491)に対して理由を聞くと、「年収が少ない」(47.5%)、「スキルアップが望めない」(23.8%)、「労働時間が長い」(22.0%)との回答が得られた。
一方で、「退職や転職をしないで、現在の勤務先に残ることを選んだ理由は何ですか?」と質問すると、「有休が取りやすいから」(28.1%)、「次の仕事が見つからなさそうだから」(25.7%)、「同期や同僚との関係がいいから」(23.8%)が上がり、有給申請のしやすい風通しの良い会社の定着率が高くなる傾向があるようだ。
さらに、「今後、退職や転職を検討する要因になるものをすべて選んでください」と問いかけると、「年収のダウンや伸び悩み」が「44.3%」、「人間関係の悪化」が「36.3%」、「ライフイベント(結婚、出産、育児、介護など)」が「33.0%」を占めた。やはり年収のアップダウンと転職・退職のタイミングは重なるようだ。