「従業員として働くには、どういう職場であればうれしいか」
「Nature Remo」シリーズの話が一段落したあとは、Natureが掲げるミッション「自然との共生をドライブする」について聞いてみた。その話の流れから、同社では社員一人ひとりが自律して、意欲的な働いている様子もわかってきた。
――ところで、御社は「自然との共生をドライブする」というミッションを掲げて事業に取り組まれていますが、これについて詳しくお教えください。
塩出さん 話せば長くなるかもしれませんが、私は「自然の一部である人間は本来、自然と調和して生きるべきだ」というふうに考えています。ところが今の社会は、それとは逆の方向に向かっていると感じています。産業革命以降、大量生産、大量消費的な経済のあり方が暴走しているのでは、と感じています。私はそれを変えていきたい、という思いを抱いています。
――そういった資本主義の再構築への関心は世界的にも高く、いまや持続可能性が求められています。言うまでもなく、「Nature Remo」シリーズも、社会の脱炭素に貢献する製品ですね。
ところで、こうした社会に貢献する製品を扱う御社は、働き方の観点でも柔軟だったりするのでしょうか。
塩出さん そうですね。自律的な組織を目指しています。というのも、起業前の会社員時代(この話は【後編】をご覧ください)、「従業員として働くには、どういう職場であればうれしいか」ということについて、よく考えていました。そして思ったのは、会社という組織は意思決定が非効率的な面もある、ということでした。
――どういうことでしょうか。
塩出さん 仕事を任せられるようになると、「自分が上司に説明しなければならない機会」が増えますが、これなどもそうですよね。自分がトップでない限り、上司にはさらに上の上司がいます。つまり、自分の提案や説明を上司にしたら、その上司が今度はその上の上司に説明する、というのが一般的な組織のやり方かと思います。
――言ってしまえば、「伝言ゲーム」ですよね。
塩出さん そうなると、仮にですが、自分の説明に対して、上司が「わかったつもり」になって、さらに上に説明するということが発生し得るわけです。ところが、「わかったつもり」では、きちんと説明されない可能性があります。
――たしかに、そうですね。
塩出さん だから、それよりも、発案者がより主体的になったほうが、はるかに効率的だと思うのです。それに、その方は、仕事のやりがいにもなる。こうした発案者自身がリードするようなやり方のほうが働く喜びが大きいのではないか――そう思うようになりました。
――考えさせられるお話ですね。
塩出さん 「従業員として働くには、どういう職場であればうれしいか」について思うことはもうひとつあります。それは、「人は組織の中で、どうすればその人が自身の能力を最大限発揮できるか」という点です。しかも現代は「前例が前例として踏襲できない速さで社会が変化」しています。
――たしかに、日々のキャッチアップだけでも倒れそうになります......。
塩出さん 会社は、個々の能力を最大限発揮できる環境を整えるべきだと私は考えています。すなわち、従業員ひとりひとりが「オーナーシップを感じられる環境」です。「今、自分が担当しているビジネスは自分がリードしているんだ」という実感がわく組織のあり方を弊社では目指しています。